1.はじめに
気象の学習は,生徒の生活に,直接結びついていながら,その自然現象への興味や関心は必ずしも高くはない。本校でも例外なく,明日の天気に対しては関心をもっているが,中・長期的な予想については,あまり興味を示していない。その要因として,『大気は目に見えない』ことが大きな要因であると考えられる。平面図である天気図から高気圧・低気圧,そして,気圧配置を読み取ることは,天気図についてある程度の習熟を要する。
生徒は,天気図を立体的にとらえることで,その高低差で高気圧・低気圧,気圧配置,大気の流出入を考察することが容易になる。授業の中で等圧線を立体的にとらえる手法を考えてみた。
2.立体図の作成
(1) |
表計算ソフトを利用した立体図の作成
Microsoft Excel のグラフ機能(等高図)を利用し,天気図を立体的に表してみた。
等圧線の書き方にあわせて作表するが,セル数を多くすることによって,滑らかな曲線に近づけることができる。〔挿入〕→〔グラフ〕と選択し,〔等高図〕グラフによって表示する。
〔3−Dグラフ〕の設定を利用することで,立体図を回転させることができる。
| 縦方向の回転,仰角90°に設定すると平面図となる。 |
| 横方向の回転 |
| 〔OK〕をクリックすると,〔3−Dグラフ〕の設定が消えてしまうため,作業中は,〔適用〕のタブを利用したほうがよい。 |
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(2) |
透明プラスチックシートを利用した立体図の作成
徳島県立総合教育センターの資料を参考に,天気図を立体的に表してみた。
1) |
天気図を配布し,透明プラスチックシートに写し取る。同じ気圧は,一枚のシートに写し取る。
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2) |
透明プラスチックシートの長径の両端は,1cmほどコの字型に折り曲げておく。
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3) |
気圧の低いものから順番に井形に組み上げていく。
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4) |
写し取った天気図の上に重ねていくと,位置関係がわかりやすい。
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<材料>
・ | 透明プラスチックシート×6 |
・ | ホワイトボード用マーカー |
・ | ホワイトボード用イレーザー |
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<注意点>
・ | 透明プラスチックシートは,0.2mm〜0.3mmの厚みが必要である。 |
・ | 厚すぎると重ねたとき,透明度が落ち,見えにくくなる。 |
・ | 油性マジックで描くと,間違ったとき修正しにくい。 |
・ | CDケース(ふたの部分を取り外し使う)とCDラックを使えば,楽に作ることができる。 |
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3.おわりに
これらの方法は、気流を考える上でわかりやすく、高気圧、低気圧の気圧配置を考えるのにも適している。また,平面上で考えるよりもわかりやすく,生徒にも好評である。
プロジェクター等の設備があれば、2−(1)を導入にして,2−(2)を生徒演習で行うのが望ましい。さらに,季節の特徴的な気圧配置や気圧の谷などの発展的な学習内容を解説するときに利用すれば,説明明しやすく、生徒にもわかりやすい。
このようなIT教材によってすべての実験を解説するのではなく、あくまでも生徒の実験・観察への導入として活用するよう心がけたいと考えている。
〈参考資料〉
・平成13年度徳島県教育委員会研修センター理科講座資料
・科学技術振興機構 理科ねっとわーく
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