1. はじめに
私たちが住む北海道帯広市は,夏は高温,冬期は低温・乾燥と寒暖の差が激しく,北海道でも有数の激寒地帯である。11月にもなると暖房が入り,教室の窓や戸を閉め切るとすぐに窓一面に結露が発生する。2分野下「天気の変化」における「大気中の水分」の小単元では,この経験を導入題材として授業展開を行っている。
学力定着の一助として,コンピュータ利用によるIT授業が多く実践されるようになってきた。帯広市教育研究所では,平成6年度から教材用ソフトの開発が行われてきている。その中で,「水蒸気と湿度 〜天気の変化〜」というソフト開発に参加した。空気中の水蒸気にスポットを当て,このソフトを制作した。
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2.「水蒸気と湿度」の学習でのコンピュータ利用について
空気中に含まれる水蒸気の量や飽和水蒸気量について考えさせるときに,図解による説明よりも,「水蒸気の量とはこういうものだ」と視覚的な体感をする方が効果的である。この考えを基にして,コンピュータによるシミュレーションの手法を用いると効果的に学習内容が定着するのではないかと考えた。本ソフト制作の目的は,アニメーションの鑑賞やマウスでクリックすることにより,飽和水蒸気量や湿度についての関心を抱いてもらい,理解の深化を促すところにある。
ソフト運用の概要としては,webサーバ上にデータをおいて,生徒がブラウザを通して学習するCAIの形態をとっている(アニメーションはFlashを用いているため,Flashのプラグインが必要となる)。また,ローカルハードディスクや,CD−ROM等にデータを置いて学習を進めることも可能である。
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3.ソフトの内容・使用方法
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ブラウザを起動し,ソフトのタイトル画面を表示する。
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(2) |
タイトル画面には,
[飽和水蒸気量についての学習][湿度についての学習]
の選択画面が表示される。生徒は,それぞれ学習する項目について選択して学習を進めることになる。
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4.おわりに
私の授業展開として,この単元の終わりに「まとめ」としてこのソフトを使用した。生徒は「図が動く」ことに対して興味を持ち,理解を深めている様子がうかがえた。目に見えない水蒸気の概念を理解するには,このような教材は効果的であった。
アニメーションを用いた説明としては,この教材でも使用したFlashや,Power Pointを用いて行うようにしている。また,最近では「理科ねっとわーく」で提示されているコンテンツを活用することも多くなった。メディアコンテンツによる教材提示や説明は,興味付けという意味合いでは必要な要素となっていくと思われる。しかし,ITにばかり依存するのではなく,本来あるべき「実物」を通して生徒に教材を提示していくことが,より大切なことであると痛感している。
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