課題研究理科の指導


大気の圧力を確かめる実験
川崎市立平中学校
前島 誠一
1.はじめに

 地球上にいるわたしたちは絶えず大気の圧力を受けています。しかし,日常生活の中ではその大きさを意識することはありません。
 そこで,実験を通して生徒たちに大気の圧力を感得させたいと思い,教室で簡単に実施できる実験をいくつか考えて用意しました。

2.用意した実験

 〈実験1〉 水がこぼれないのはなぜ?

  ・試験管やコップに水を満たし,紙やプラスチックなどでふたをして逆さにする。逆さにしても水がこぼれないことから,大気の圧力がはたらいていることに気付かせる。
  ・気圧や水圧はどの向きにも同じ大きさではたらいていることの確認にもなるので,ふたをどの向きに向けても水がこぼれないことも確かめさせるとよい。



 〈実験2〉 どうしてつぶれたのかな?

  ・沸騰した熱い湯をペットボトルに入れた後,直ぐにその湯を捨ててペットボトルの口を下に向けたままふたをする。ペットボトルが冷やされると,音を立ててつぶれていくようすが観察できる。このとき,水で冷やせば急激につぶれる。
  ・簡単な方法で大気の圧力を実感させることができる実験である。この種の実験では空き缶がよく使われるが,この実験ではペットボトルを使っている。
※実施するときは,やけどをしないように十分注意しておく。


熱い湯をペットボトルに入れる。

つぶれたペットボトル

 〈実験3〉 簡易型真空実験装置を使って,大気の圧力を検証してみよう

 [方法]
  1) 簡易型真空実験装置の容器の横に取り付けてある活栓の容器内の部分に風船を取り付け,活栓を開けたままで風船内の空気を絞り出して風船をぺしゃんこにした後,活栓を閉じる。

  2) ポンプを使って容器の中の空気を抜き,真空状態にする。(図1)
ポンプは200回以上引く。その途中から,ポンプを引くとき重く感じるようになる。生徒全員にその感触を体験させるようにしたい。

  3) 穴あきゴム栓を付けたペットボトル(500ml用)を用意し,容器の活栓につなぐ。(図1,図2)

  4) 活栓を開けて,つないだペットボトルがどうなるかを確かめる。(図3)
活栓を開ける前に,開けたらペットボトルがどうなるか生徒たちの予想を聞いてみる。
ペットボトルがぺしゃんこにつぶれるようすに,初めて見る生徒たちは驚き,大きな興味・関心を示す。


 図1 左側:穴あきゴム栓を付けたペットボトル(500ml用)
 右側:真空にした容器(活栓は閉じてある)とその中の風船


 図2:真空にした容器の活栓にペットボトルをつなぐ。(まだ活栓は閉じておく。)

 図3:活栓を開けるとペットボトルが大きな音を出してつぶれ,容器内の風船がふくらむ。

 実験3と同じ簡易型真空実験装置と菓子袋や風船を使って次のような実験をしても,空気が関係していることを確かめることができます。

 〈実験4〉

  ・活栓の容器内の部分にぺしゃんこにした風船を取り付けてから容器内を真空状態にする。その後,活栓を開けると,外部の空気との圧力差で風船が容器いっぱいに大きくふくらむ。

 〈実験5〉

  ・容器の中に密閉された菓子袋とぺしゃんこにした風船を入れた後,容器内の空気を抜いて真空状態にすると,菓子袋がふくらむ。その後,活栓を開けると,外の空気が風船に入って風船が大きくふくらみ,菓子袋はしぼむ。


 実験4: 活栓を開けると,風船がふくらむ。

 実験5: 容器内の空気を抜くと菓子袋がふくらむ。

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