(1) | 回転の中心から離れたところでのコリオリ力を見せる方法
今までの装置は,ほとんどが回転軸上であったが,本実験では装置が回転の中心から離れたところにあるため,生徒は中緯度地域(例えば日本)を想起しやすい。その方法として,回転台上に長板を乗せ,一端にバランス用重り,他端に装置を置く。 |
(2) | 生徒実験ができるための簡易回転台の製作
美術教室にある生徒用ろくろを用い,市販の模型用ギアー付きモーター(田宮模型)を使って,重さ20kgほどの装置を動かすことができる。電源として,乾電池,または生徒用直流電源装置(1.5〜3V)を使う。ここでは電気モーターを使っているが,手で回すだけでも十分である。 |
(3) | 上昇気流,下降気流を回転台上でモデル化する方法
13水槽で,水槽掃除用の電池式水中ポンプを使って下降水流,上昇水流をつくり,高気圧部,低気圧部に対応させる。これを回転台上で行うことによって簡単にコリオリの力が働き,下降水流部では高気圧の渦が,上昇水流部では低気圧の渦ができる。さらに回転台を回し続けると,上昇水流部では渦の回転が早くなり,竜巻や台風のようになる。 |
(4) | 高気圧,低気圧,台風,竜巻の流れを直視する方法
既存の実験方法では,渦はできるが流れの方向までは観察できていない。本実験では,薄いプラスチック片と小さなビスで旗をつくり,おがくずも利用して流れる方向,渦の形が直視できる。下降水流(高気圧部分)や,上昇水流(低気圧部分)での水流の向き(風向き)と,強い上昇流の中での渦巻き(竜巻や台風)を観察する。 |
(5) | 観測者が回転台上にあって,高気圧や低気圧,竜巻を見る方法
回転している装置上の低気圧や高気圧の渦を目で追う代わりに,ミニビデオカメラを置き,テレビ画面でそれを見ると,あたかも地球上に観測者がいて,低気圧や高気圧の渦を観測しているように見える。 |
以上,ごく身近にある材料を用い,簡単で安価な装置ができた。また,北半球,南半球での高気圧や低気圧の渦が自分自身でつくりだすことができ,生徒の気象に対する意欲を喚起することができる。