福岡県桂川中学校 石坂 政次 |
【規則性を見い出そうと言語活動する生徒】 | 【ハノイの塔】 |
改正教育基本法では,習得と活用の大切さについて記載されました。また,数学でも,言語活動の充実や操作活動の重要性も言われています。今回の取組は,小学校6年,中1,中2対象でも,特設4時間程度で行うことができる実践例です。
公開授業はもとより,文字式の決まりという小単元を設定して習得から活用まで行うことができました。
本題材は,ハノイの塔を使って,文字式の決まりを見いだすことです。そのために,以下のように単元計画を設定し実施しました。
学習内容 | めあて | 時間 | |
---|---|---|---|
1 マッチ棒を数えよう |
マッチ棒の数を数え,その規則性を見つけよう。 | 習得 | 1 |
2 対応表から規則性を見つけよう |
対応表を完成し,2つの数量関係の規則性の一般式を見つけよう。 | 習得 | 2 |
3 ハノイの塔 |
最も少ない決まり手を見つけよう。 | 活用 | 1 |
□指導上の留意点
多様な考え方を引き出すことは前提ではある。しかし,図IVのように,表を利用した考え方を第3次「ハノイの塔」のために,教師が生徒に知らせる必要がありました。
特に,小学校のつまずきの実態を踏まえ,横の見方より,縦の見方を生徒に着眼させるように仕組みました。
□指導上の留意点
下の図Vから図VIように,数多くの対応表を提示し,nのときの一般式を求めさせ,生徒が「決まりを見いだす」ための習得を2時間かけました。その際,まず,規則性を見つけやすい比例から1次関数を経て,指数関数へ意図的に課題を設定しました。次に,一般式が,図VIの(14)のように,yの値が2倍ずつ増える関係を見つけさせ,nの一般式が2nになることを知らせました。(14)を受けて,最後に,(15)のように,nの一般式が2n−1になる課題にも生徒に取り組ませました。
・ 完成させた対応表を基に,最少の決まり手の回数の一般式を見つけようとする。
【数学への関心・意欲・態度】
・ ハノイの塔を操作したり,対応表を用いたりして,枚数が5枚や6枚の際の,最少の決まり手を見つけることができる。
【数学への見方・考え方】
イ 展開学習活動・内容 | 指導上の留意点 | 形態 | ||||
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つ か む |
1 課題を知る。 (1)本時のめあてを知る。 |
◯ハノイの塔の歴史的な背景を説明する。 ◯枚数が2枚のときの移動を実演してみせ,動かし方の簡単なルールを説明する。 |
一斉 | |||
|
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めあて 最も少ない決まり手の回数を見つけよう。 | 個 | |||||
見 通 す |
(2)予想する。 |
◯枚数が3枚のときの決まり手を予想させる。 ◎実際にハノイの塔を操作させることにより,枚数が3枚のとき決まり手を求めさせる。そして自分なりの答えや考えをつくらせる。【自己存在感】 |
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/ 追 求 す る |
2 課題を追求する。 (1)対応表に記入していく。 |
◯枚数が4枚のときの最少の決まり手の回数を予想させ,実際に求めさせる。 ◯机間指導し,対応表を記入していない生徒には,対応表を完成させながら最少の決まり手を求めるように助言する。 |
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(2)小集団にて交流活動を行う。 |
◎小集団で,ハノイの塔の最少回数を協力して探すように助言する【コミュニケーション活動】 |
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(3)学級全体で規則性を確認する。 |
◯4枚のときの最少決まり手の回数を黒板のモデルを使い生徒に実演させる。
◎その際,3枚のときの最少決まり手の回数を使って容易に見つけることはできないか助言する。 生徒によりよい考え方を話し合わせる。【共感的人間関係】 |
小集団 |
||||
/ ま と め る |
3 まとめる。 |
◯下の図のように,対応表下段の最少決まり手の回数+1を助言し,2n に気付くように助言する |
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まとめ n枚のときの最も少ない決まり手の回数は2n−1である。 | ||||||
◯本時のめあての達成度と生徒の課題解決過程について評価する。 |
◯小単元「決まりを見つけよう」を起こし,習得と活用を図ることができました。
◯活用の課題として,評価の観点を,一般式を見つけようとする(関心・意欲・態度)としたため,一般式を生徒に無理に導き出せようとはしなかった。そのため,ハノイの塔の規則性を見つけようとする関心・意欲・態度は高まった。
◯決まりを予想して,操作活動して確かめる。そしてコミュニケーション活動のように,数学的な思考を深める学習過程を設定することができた。
●ハノイの塔(教具)を全員分35個購入することが大変であった(貸し出します)。