1.題材について
空間図形の指導においては,黒板やプリントによる見取り図,展開図を用いることが多い。しかし,空間概念の形成には,作業的活動や具体物を使った活動を取り入れることも必要である。
直方体や円柱・円錐などの立体図形における表面上の2点間の距離については,三平方の定理を学習してから取り扱うことが多い。ここで,計算によって距離を求めることは出来なくても,コンパスにより長さの長短を比較することはできるため,1年生の時点で取り扱うことも可能である。展開図の必要性や有効性を味わわせる機会ともしたい。
(2) |
将来の仕事に役立ちそうだから数学を学習する価値がある。 |
小学校低学年での学習内容
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いろいろな形を作ったり分解したりすること。 |
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三角形,四角形などについて知り,それらをかいたり作ったりすること。 |
小学校中学年での学習内容
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箱の形をしたものを観察したり作ったりすることを通して,図形を構成する要素について知ること。 |
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正方形,長方形,直角三角形,二等辺三角形,正三角形について知り,それらをかいたり,作ったり,平面上で敷き詰めたりすること。 |
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円について中心,直径及び半径を知り,円をかいたり作ったりすること。また,球についても直径などを知ること。 |
小学校高学年での学習内容
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直線の平行や垂直の関係について知ること。 |
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基本的な図形の簡単な性質を見いだし,それを用いて図形を調べたり構成したりすること。 |
本題材以前の中学校での学習内容
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平面図形(2点間の距離,扇形) |
本題材以後の中学校での学習内容
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三平方の定理(空間図形への利用) |
2.生徒観
本校では,毎週1回「計算力コンテスト」という小テストを実施している。その成果もあって計算力の向上は図れたが,図形分野においては,直観的な見方に課題を感じている生徒が多数いる。問題に対してねばり強く取り組む生徒が多い半面,問題の意味を把握できない生徒も数人いる。挙手をする生徒が決まってきていることなど,課題もある。
今回の授業では,4人組のグループ学習を取り入れることにより,一層理解が深まるようにした。
3.単元の目標
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身近な立体をいろいろな視点や方法で操作・観察し,分類整理しようとする。【関】 |
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立体を見取図や展開図で表すことのよさを理解し,いろいろな立体を面の形や全体の形などの特徴に応じて分類できる。【見】 |
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立体の見取図や展開図をかき,その立体の特徴を調べることができる。【表】 |
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角柱,円柱,角錐,円錐などの用語や立体の見取図,展開図について説明することができる。【知】 |
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立体の表面積や体積を,どのようにすれば求めることができるか,積極的に調べようとする。【関】 |
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柱体,錐体で共通な性質に着目することができ,それを使って体積の求め方を導くことができる。【見】 |
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立体の表面積や体積を,いろいろな場合について求めることができる。【表】 |
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表面積,底面積,側面積の用語や角柱・円柱の表面積や体積,角錐・円錐の表面積や体積の求め方を説明することができる。【知】 |
4.指導計画
空間図形(12時間)
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いろいろな立体 |
・・・・・・・ |
1時間 |
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角柱と角錐・円柱と円錐 |
・・・・・・・ |
2時間 |
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空間内の平面と直線の位置関係 |
・・・・・・・ |
2時間 |
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面・線を動かしてできる立体 |
・・・・・・・ |
1時間 |
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立体の平面上における2点間の距離 |
・・・・・・・ |
2時間(本時2/2) |
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角柱・円柱の表面積 |
・・・・・・・ |
2時間 |
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立体の体積 |
・・・・・・・ |
2時間 |
5.本時の計画
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既習の内容(展開図)を活用し,課題を解決しようとしている。【関・意・態】 |
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立体を展開図で表すことのよさを理解し,それをもとにして課題を解決できる。 【見・考】 |
曲面上での距離を扱うため,課題の理解や解決は難しい。「実際に模型に糸を巻き,紙粘土に表面を写し,予想する」活動により,生徒の興味・関心を高め,授業を展開していきたい。4人組のグループ活動により,全員の生徒が理解できる学習としたい。
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学習の流れ |
予想される生徒の反応 |
評価(◎) |
指導上の留意点 |
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前時の復習 |
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・ |
立方体の対角にある2つの頂点を,表面上で考えたとき,最短の距離について思い出す。 |
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課題の提示 |
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課題1 |
図のように,円柱にひもを一回転巻いたとき,最短の長さはどうなるだろう。 |
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[グループ学習] |
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課題の解決 |
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・ |
前時の内容から,展開図を利用して考える。 |
・ |
イメージできない。 |
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◎ |
既習の内容(展開図)を活用し,課題を解決しようとしている。
【関心・意欲・態度】 |
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発表 |
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◎ |
立体の展開図を正確にかいて,課題の解決方法を調べることができる。
【表現】 |
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・ |
各グループに円柱の模型と糸を配布し,課題1を理解できるための支援を行う。 |
・ |
各グループにトレイと紙粘土を配布する。 |
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解の確かめ |
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・ |
実際に模型に糸を巻き粘土に表面を写し,直線であることを確かめる。 |
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課題の提示 |
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課題2 |
円錐の底面の1点から図のようにひもを側面に一回転巻いたときの最短の長さはどうなるだろう。 |
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[グループ学習] |
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解の予想 |
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◎ |
既習の内容(展開図)を活用し,課題を解決しようとしている。
【関】 |
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・ |
各グループに円錐の模型と糸を配布し,課題2を理解できるための支援を行う。 |
・ |
最初は,模型を使って解を予想する。その後展開図を使って課題を解決する。 |
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課題の解決 |
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◎ |
立体を展開図で表すことのよさを理解し,それをもとにして課題を解決できる。
【見】 |
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発表 |
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練習問題 |
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課題3 |
(課題2に関連)扇形の中心角の大きさを変えるとどう変化するだろう。 |
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まとめ |
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・ |
本時の内容を振り返り,改めて2点間の距離について考える。 |
・ |
2点を結ぶ線で,最短になるものが距離である。 |
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評価 |
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備考 <1つのグループに配った物> |
◎ |
円柱・円錐の模型(木製で小振りのものを1個ずつ),凧糸,トレイ,紙粘土,セロテープ |
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6.授業の実際
模型に糸を巻いてぴんと張り,トレイに敷いた紙粘土の上を転がして跡を付けたとき,生徒たちから驚きの声が上がった。生き生き活動している生徒が多数見られた。
作業的な活動を取り入れたことで,生徒の理解を助けることができた。
学習プリントには,課題1〜3と,自己評価,授業の感想や質問を記入する欄を載せた。自己評価の項目は「問題文を理解し,解決に向けて考えること」「積極的に問題を解くこと」の2つである。○,△,×で自己評価する。○が多かったが,後者は△もたくさんあった。少数だが×もあり,もっと授業を工夫する必要性を感じた。
7.今後の課題
別の題材でもグループ学習が有効なものを考えていく。指導と評価の一体性を意識する。
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