授業実践記録

その1 授業の「理解度up」を図り、基礎基本をみにつける
埼玉県 中学校数学教諭
1.はじめに

 今年度,3学年を2人で受け持つことになり,もう一人の先生から,「授業の最後に小テストをやりませんか?」と提案された。

 本校は,集中力に欠けたり,すぐにあきらめてしまう傾向の生徒が多い。また,家庭学習が身についておらず,次の授業の時に前時の内容を覚えていない生徒もいる。

 そのような状況なので,少しでも学習内容が身につくことを願い,その日に学習した内容を中心に小テストを実施することにした。生徒には,最初の授業の時に説明した。


2.ねらい

 小テストの目的は,

  1 今日の授業が理解できたかを知る。(生徒側)
  2 自分で問題を解くことに慣れる。(生徒側)
  3 授業に集中させる…授業を聞いていないとテストができない。(生徒側)
  4 理解できていない所をつかむ。(教師側)


3.実践例
(1)小テストについて
38の小テスト
 
38の小テストの裏に37の解答
 小テストは,次の授業の内容に合わせて用意する。用紙サイズは,問題量後で生徒がファイルすることを考え,B5とした。

 点数は100点満点とし,問題数は5題〜10題で,時間のかかる問題の場合は少なくしている。配点もそれに合わせて1題10点の場合や20点の場合もある。

 学習内容や問題内容により,授業の終了5〜10分前に学習を終了し,小テストを配布し,取り組ませる。

 授業終了のチャイムで,小テストを回収する。

※小テストを実施するにあたって,教科書やノートを見てもよいことにしている。

(2)解答について
 採点は,担当教師が行い,次時の開始前に数学係を通して返却している。

 解答・解説については,授業を進める関係で時間をとってはいない。採点して気になることや説明不足等を感じた場合,あるいは生徒から質問があった場合は,授業開始時に行うようにしている。

 ただ,問題をやりっ放しでは解き方を間違えた生徒にとって何がいけなかったかわからないままになってしまう。そこで,次の小テストの裏に前回の解答を印刷して後日定期テスト等で見直しをしたときに復習できるようにした。

 別紙プリントで解答を用意することも考えたが,すべての生徒がやり方等の解答を必要とするわけではない。用紙のムダになる。かといって何もなしでは意欲のある生徒を切り捨ててしまうことになると思い,このような方法になった。

(3)得点の記録について
 小テストの得点は,生徒の自己評価カード欄を設け,生徒自身に記録させている。これは生徒自身が自分で記録し得点の推移を見ることで,意欲を高めることができる。また,教師の負担を少しでも減らすことができる。

(4)問題点について
 問題点としては,教師の採点時間の確保である。私の場合,どうしても部活が終わってからになってしまう。教師の採点時間確保が難しい場合は,授業中に採点時間を確保し,生徒同士で交換させて採点させてもよいであろう。

 また,授業内容が難しかったり,三平方の定理など基本的なことは1つで,いろいろな図形に応用して反復的に学習する場合など,問題作成に行き詰まることがある。その場合は,その日の授業内容にこだわらず,計算問題等の復習も混ぜるようにした。



4.成果

 授業の最後に小テストを行うことのよさとして,はじめにあげたねらいと重なる点もあるが,改めて次のことがわかった。 

5〜10分間,生徒自身が集中して問題に取り組むことにより,集中力が身につく。
授業中,演習問題等取り組むが,その場合問題数が多くて3問程度である。力のある生徒ならすぐできてしまう。難しい問題だと,苦手な生徒にとっては手がつかずにあきらめてしまう。しかし,毎回,決まった時間で5〜10題のその日の内容の小テストを行うと,苦手な生徒も思い出しながら取り組めるし,力のある生徒も満点を取ろうと真剣に取り組んでいる。50分間教師や友達の説明を集中して聞くことが難しい生徒にとっては,実のある10分間である。集中力のない生徒でも10分程度なら集中できる。
その日の学習内容の理解度が,生徒も先生もつかめる。
基礎学力が身につく。
その2
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