兵庫県豊岡市立竹野中学校 吉岡 久幸 |
1. はじめに 竹野中学校のある竹野町は,山・川・海などの美しい自然環境に恵まれ,夏の海水浴場をはじめとして観光地として栄えてきた。環境教育の重要性が高まっている今日,自然豊かな地域に位置する本校では,海の環境教育実践推進校として,特に海の環境教育の研究を主眼に置いた取り組みを行っている。 数学の時間にも,「竹野浜の自然」を題材に取り上げ,数学的に竹野の自然を解析することにした。そして,地域教材を取り上げ,体験的な学習を取り入れることで学習意欲を高めたいと考えた。学習内容は,中学校3年生で学習する「図形と相似」で,竹野海水浴場の浜辺から,沖合に設置されたテトラポットまでの距離を実際に測り,縮図を使って計算した値と比べることにした。 2. 授業を実施するまでの準備
3. 授業の指導の過程
身近な事象を題材にしたことで生徒が意欲を持って取り組む姿が見られた。そして,生徒たちは次のような感想を述べた。
4. まとめ 今回取り上げた教材は,教科書で扱われている縮図を利用する内容に,数学的活動を積極的に取り入れたものである。そして,総合的な学習の時間に地域教材のデータを集め,それをうまく授業の中に組み入れることができた。また,自分たちの活動を映像で見せたことで,生き生きとした表情で授業を受ける姿が見られた。 事後の授業研究でも,自分の体を使っての学習は記憶に残ることである。是非数学の時間にも,このような時間を設けたいという意見があった。そして,この活動が,普段の生活の中に疑問を持ち,探求する力を培うことにつながるのではないかという仮説を持つことができた。 筆者自身この授業作りの中で,いくつもの発見をすることができた。
などである。 1時間の授業をするために,十数時間も時間をかけたように思うが,筆者自身が数学の面白さと楽しさを感じたことが何より収穫であり,数学的な活動の必要性も再確認することができた。 |