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愛知県小牧市立小牧中学校 石川 学 |
1. 教材 「星形多角形の内角の和を追究しよう」(2年) 2. 教材観 三角形や多角形の内角の和を学習した後で,発展問題としてよく扱われる教材である。星形五角形だけとっても,その形のきれいさで生徒の興味・関心を刺激する教材であるが,その中にかくれている図形の多様さや内角の和の求め方の多様性など,数学的な価値の高い教材である。また,星形五角形を星形六角形,星形七角形,・・・と変化させていくと,その内角の和には規則性を見出すことができる教材であり,生徒たちも数学的な探求活動に意欲的に取り組むことができる課題学習には最適な教材である。 3. 授業の実際
4. 生徒の反応・感想 生徒は予想以上に意欲的に課題に取り組んでいた。第1時の星形五角形の内角の和を求める場面では,塾等の学習で180°になることは知っていても,その理由まではよくわかない生徒もいて結構苦戦していた。図形の見方をより養うために「星形以外にどんな形が見える?」と尋ねたり,鉛筆回転法で180°になることは確認してあるので,「180°になるものはどんなものがある?」と尋ねたりして,ヒントを与え解決の糸口をつかませた。一人で7通りの解法を思いついた生徒や⑧のような解法を見つけ出した生徒が出て,改めて生徒の柔軟な発想力に感心させられた。第2時・第3時の星形五角形の発展形としてのさらなる応用は,生徒にとっては難しいと思いながらも,生徒たちは必死になって追究しようとする姿勢が見られ,課題の奥深さにも触れることができた。 以下に生徒の感想をいくつか紹介する。
上記のような課題学習を少人数学習の形態で行ったが,少し無理があるようには考える。より多様な考え方やそれらのよさに触れさせるためには,学級集団全体の方が深まりや広がりがより期待できるであろう。とはいえ,星形五角形の内角の和の解法を一人で7個見つけた生徒がいたり,教師側が考えていなかったような解法を見つけた生徒がいたりと,改めて課題学習のおもしろみや教材研究の大切さ・奥深さを感じることができた実践であった。 また一方では,星形五角形の解法を自分一人では思いつかなかった生徒が19人中の4人と,基礎学力や既習事項の内容が十分には身に付いていない生徒がいるなど,基礎・基本の指導の徹底や個別指導の充実を図る必要性も感じた。 また,現行の指導時間数の中で,課題学習を扱うことは非常に厳しい状況にあることは確かである。しかし,問題を発展的にとらえたり,既習事項を使って問題を整理したりすることは,数学的な思考力を伸ばす上では大切なことである。普段の授業の中でもそういったことはやらなければならないし,課題学習などの教材を扱って,より集中して数学的思考力を養うことも時には必要なことである。そのための時間確保は,教科書の内容の取扱いに軽重をつけるなどして生み出すほか手段はないように考える。 |
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