四日市市立西陵中学校 守藤 敏郎 |
1.はじめに 授業を進めていると,ついついノートの上だけの数学になりがちであり,実際の生活の中へ生かす場面が少なくなることが多い。しかし,今回扱う測量は,これまで学んできた内容を利用しながら,実際の生活の中で課題を解決する学習活動につなげ,数学のよさを体感できる内容である。 この測量の課題は,教科書などでもよく扱われているが,建物や木の高さなど,目標となるものまでの距離が測定できる場合が多い。それに対して,今回の窓枠の横幅を調べる学習は,直接,目標物までの距離を測らない(測れない)場合の内容を扱うことになる。 この課題では,窓枠までの距離が分からないため,生徒たちは,測量で求めることが困難であると考えてしまうことが多い。しかし,この窓枠の横幅の測量は,目標となる窓枠までの距離を直接測定できなくても「相似な図形の性質」「三角形の決定条件」などの基本的な学習内容を組み合わせて考えることで窓枠の幅を測定することができ,生徒の素直な驚きを引き出すことができる題材である。このように,数学に対する関心を持たせるという観点から考えても,今回のような実習や実験を通した数学のよさや有用性を体感させる取り組みが大変重要であると考える。 さて,本校の生徒は,数学の学習に対して大変熱心に取り組んでいる。また,「座標アート(座標平面上に点をとり結んで絵を描く活動)」「四角形のコマ作り(重心)」など,様々な導入実験や実習にも取り組んできた。そのため,今回の測量でも楽しみながら学習に取り組む様子が見られた。 以下,この授業実践について紹介する。 2.実践の目的 これまで学んだ図形の性質(相似な図形,三角形の決定条件等)を利用しながら,離れた場所にあるものの大きさを測定する方法を学ぶ。 3.授業の実際 (1) 準備物 下敷き(厚紙などでも可能),分度器,定規,ノート
4.実践結果
「ちょっとでも作図や測量がずれると,大きく結果が変わってくるので,何度もやり直さなくてはいけない大変な作業でした。でも,測量の結果,窓わくの横幅とほぼ同じ長さが出たときには,本当にうれしかったし,こんな方法で求めることができるということが分かって感動した。」 後日,この感想を書いてくれた卒業生に電話して,この授業の感想を再び聞いてみると,「二度としたくないけど,こんなことやったのは西陵だけだよね・・・。実際に測量して窓枠の長さが出たときには,本当にうれしかったよ」 と同じようなことを話すと同時に,学んだ数学を生かした活動をしたことを誇りに感じている様子が伝わってきた。生徒にとって,かなりインパクトのある授業であったようだ。 6.成果と課題
|