(1) | 指導のねらい
コンピュータ(表計算ソフトを使用)で,度数分布表,平均,相関図等で資料を処理する能力を高め,情報を発信することができるようにする。 |
(2) | 生徒の実態
表計算ソフト(EXCEL)を使用することは,はじめてであるが,コンピュータリテラシーについては,第1学年の総合学習の中で身につけてきている。 |
(3) | 実践
次の表に示すように8時間の学習計画を立て,課題学習として本校生徒の生活習慣病のデータを分析する学習を設けた。学習の流れ2)〜6).については,まずコンピュータを用いて教師と一緒に作業を行い,次に,その操作を各自が行うという形式で学習を進めた。
〈学習の流れ〉 | 〈配当時間 …8時間〉 |
1) 用語の理解 | | 0.5時間 |
2) 度数分布表の作成 | 1.5時間 |
3) ヒストグラムと度数分布多角形 | 1.0時間 |
4) 相対度数とグラフ | 1.0時間 |
5) 階級値による平均 | 1.0時間 |
6) 相関図と相関表 | 0.5時間 |
7) 課題学習 | 2.5時間 |
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「学習の流れ」の1)については押さえた用語を,2)〜6)については用いたEXCELのシートを,7)については完成した生徒の資料をそれぞれ紹介する。
●資料
1) | 基本的な用語
階級,度数,累積度数,度数分布表,ヒストグラム,度数分布多角形,相対度数,階級値,範囲,相関図,相関関係が強い,相関関係がない,相関表 |
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2) | 度数分布表の作成
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3) | ヒストグラムと度数分布多角形
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4) | 相対度数と度数分布多角形
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5) | 階級値による平均
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6) | 相関図
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7) | 課題学習
【課題】
本校の生活習慣病に関するデータを度数分布多角形,または,相関図を用いて分析してみよう。 |
○生徒の提出レポート(1)
[考察] 学年が高くなるにつれ,体脂肪率は右の方にずれていっている。
〈3年男子の悪玉コレステロ−ルと動脈硬化指数の相関関係〉
[考察] 悪玉コレステロ−ルと動脈硬化指数には相関関係がある。
○生徒の提出レポート(2)
〈体脂肪率分布〉
[上のグラフからの考察]
全体的に15%〜20%に集中している傾向があることがわかります。さらに3年生になると,分布がだんだん
広がってくることから,(全体的な傾向として)“肥満”になってくることがわかります。
これらのことから,3年生になっても,勉強ばかりしていないで,運動をしなければいけないと思いました。
右の表は,2年男子の体脂肪率と,中性脂肪を比較したものです。単位が違いますが,相関関係はわかると思い,下のグラフを書いてみました。
散分図にするとよくわからなかったので,面グラフにしてみました。最初,積み上げ式にして,相関関係があるものと思っていましたが,きちんとしてみると,図のようになりました。
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[考察] | 同じ“脂肪”という言葉がついても,体脂肪率と,中性脂肪は,さしているものが違う。ただ,山の形が似ているところも所々に見られるので,すごく弱いながらも,相関関係があるともいえると思う。 |
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(4) | 生徒の反応
コンピュータを利用して学習を進めていくため,一回の授業を楽しみながら受けていた。また,実際のデータを用いて分析をはじめると相関関係は,強い場合ははっきりわかるが,そうでない場合を見分けるのは難しいようであった。さらに,生徒からは相関関係から実際の因果関係等の疑問が生まれてきた。また,ここでは生活習慣病のデータを用いたのでデータの意味や医学的な根拠を求めようとする姿も見られた。 |