グラフ電卓を用いた課題学習の試み ―関数概念の獲得とグラフ電卓の位置づけ― |
岡山大学教育学部附属中学校数学科 |
1.グラフ電卓を用いた新しい関数学習
今回の教育課程改訂でグラフ電卓の使用がはじめて明示されました。中学校学習指導要領解説では,「電卓の手軽さとコンピュータの簡易機能を持ちあわせたグラフが表示できる電卓の活用も積極的に行いたい」としています。 ここでは,関数の領域で行った2つの課題学習の実践例を示します。
2.実践事例
図6をもとに,切片だけを変えてみます。図7のように,切片を1ずつ変えていった生徒は等間隔のグラフになります。グラフ電卓ではビュースクリーンという装置に接続することによりOHPで映すことができます。一人の生徒のグラフ電卓を接続し,作業の様子を全員に見えるようにしました。作業している間,授業者は机間観察と個別指導を行うだけでグラフ電卓を範示することはありません。特徴ある反応をした生徒のグラフ電卓を接続し,全員で考察します。等間隔であるが,原点を通るグラフだけを表示していない生徒のグラフに対して,「=0の式をつくっていないから」という助言も出ました。 続いて傾きを変更します。このときもまず予想をさせ,それを確認する形でグラフ電卓を使用しました。予想させることにより,グラフ電卓が探究のための道具となるのです。いろいろな値を代入しグラフを表示するが,等間隔のグラフはかけません(図8)。 =0のとき,軸に平行なグラフになります。を大きくしていけば,直線は軸に近づきます。しかし,軸と重なることはありません。この後,関数の意味の再確認を行いました。
「どんどんかいていく方法はないかな」と発問し,考察させます。生徒たちは,との関係に気づきますが,等式変形により関係を明らかにできません。「を1増やしたら,は2減る」という結論になってから,「その関係は一次関数だよね。式で表せるよね」と問い直しました。3=2+を変形させることにより,との関係が簡単に示せることに気づきました。
3.他の活用事例
4.まとめ
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