課題学習(一筆書き)
鳥取県米子市立福生中学校
1.題材について
 課題学習では,生徒が主体的に学習活動を展開することが何よりも大切である。数学に関する視野が広がり,数学に対する親しみが増すことをねらいとしているからである。
 そこで,誰もが一度は取り組んだことのある一筆書きを題材として取り上げた。
 内容的には,どの学年でも取り組める課題である。3学年ともに授業をやってみた感想として,「一筆書きができる条件」を考えるなど,根拠をはっきりさせながら,さらに発展的に学習することを考慮すれば,2年生以上で行った方が効果的であると思う。
 授業の展開は,【課題1】は,とても取り組みやすい問題で,しかも,何通りもの解答がある(多様性)。いろいろなかき方を確認した後で,それらに共通して言えることから,一筆書きができる条件を見つけさせたい。【課題2】では,一筆書きのできない課題の条件を変え,一筆書きができるようにする。このことを通して,「一筆書きができるための条件」を確認させていきたい。さらに,【補助発問】,【課題3】を考えることで生徒が主体的に,発展的に一筆書きの問題を考えてくれることを期待して授業を行った。

2.本時の目標について
 (1) いろいろな考え方で,課題に取り組むことができる。
 (2) 一筆書きの中にある課題を見つけ,原理を考える。
 (3) 一筆書きの原理を理解し,他の図形で一筆書きができないかどうかを考えようとする。

3.授業の実際

学 習 活 動指導上の留意点
<課題の把握>
【課題1】
 右の図を一筆書きしてみよう。
自分で考えた後,近くの人と意見を交換させる。
自分の考えを前に出て発表する。
図の中にスタート(S)とゴール(G)を書き入れる。
できるだけたくさんの意見を出させる。

 <生徒のノート>

【補助発問】
 SとGが決まった点(CかD)であるのはなぜだろう?点Cと点Dに共通することは何ですか。また,点C・Dと他の点との違うところは何ですか。
偶点と奇点について説明を聞く。そして,一筆書きの問題を奇点に注目しながら考える。
偶点・奇点について触れる。
一筆書きができるときは,
1)SとGが一致するとき
2)SとGが一致しないときは,奇点が2つある
であることを押さえる。
<課題の把握>
【課題2】
 右の図は一筆書きができません。
どのように図を変えたら,一筆書きができますか。
 また,それはなぜですか。
各班で相談し,考えを発表する。
(OHPにまとめる)
各班を回り,説明するとき根拠を明らかにするように助言する。
【補助発問】
 右図のようなときは,どうですか。
【課題3】
 一筆書きのできる他の図形を考えてみよう。
発展性のある課題を提示し,自分で問題が考えられるようにする。

4.生徒の反応と指導の成果
 取り組みやすい内容であったこともあり,いつもより発表も多く,班での相談も活発に行われていた。授業後にも,図をかいて考えていたり,「自分のかいた図が一筆書きができるかどうか」ということを聞きにくる生徒がいるなど,あらためてこの題材の魅力を感じた。

 <【課題3】で生徒が考えた一筆書きのできる図形>

5.今後の課題
 今回の授業では,始点と終点が一致する場合には触れずに授業を進めたので,自分で一筆書きができるものを考えたとき,その理由がはっきりと言えないものが出てしまった。やはり,2時間授業にし,2時間目にSとGが一致する場合を取り上げておいた方がよいと感じた。

生徒がつくった一筆書きができる図形(授業後に提出されたプリントの中から)

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