絵をえがくことから理解を深める
−関数のグラフをかくことを利用して−
1.はじめに
 1年生の教科書では,関数を「2つの変数xyがあって,xの値を変えるとyの値が変わり,xの値をきめるとそれに対応してyの値が1つきまるとき,yxの関数である」と定義してある。また,2年生の教科書では,一次関数を「yxの一次式で表されるとき,yxの一次関数であるという」とし,さらに式の形「y=ax+b」で表してある。
 しかし,生徒にとっては前記の内容が理解しにくいため,関数の楽しさやいろいろな利用ができることがわからないまま,表やグラフをかいたり,式を求めたり,関数の利用を学ぶため,理解しにくい単元の1つになっている。
 そこで,変域をつけた関数のグラフを組み合わせることにより,絵をかいたり,絵を式に変えたり,また,自分で考えた絵を式で友だちと交換することで関数を楽しく,楽しさの中から学ぶ(関数を理解する)充実感を味わわせたいと考えた。

2.授業の概要

<第1限>
グラフをかいてみよう。何の絵ができる?(パート1)


[ワークシート1]
絵をみて式に表してみよう。できるかな?
[ワークシート2]
グラフをかいてみよう。何の絵ができる?(パート2)
[ワークシート3]

<第2限>
自分で絵を考え,考えたその絵を式に表して互いに交換しよう。


[ワークシート4]

<第3限>
互いに自分の考えた絵を式で伝えてみよう。上手に友だちに伝わりますか?

注)第2限はグループ(班)または,個人どちらでもよいが,グループで協力し,絵から式にする方がよい。

3.ワ−クシート


ワークシート1

ワークシート2

ワークシート3

ワークシート

4.生徒の考えた絵と式

5.生徒の反応と指導の成果
 関数は,単に式を求めたり,グラフをかいたりするだけの手段としか理解できず,本来の関数の理解につながらない生徒が多い。そこで,関数に親しみや関心を持たせるためにグラフを使って絵をかくことを扱った。初めは変域もあるため,取り組みにくい生徒もいたが,徐々に絵が完成してくることに興味や喜びを感じ,隣の生徒と自分のとを比べたりし,一つひとつの絵や式を互いに確認しながら楽しんだ。
 第2限,第3限でグループ学習を取り入れたが,グループで協力して絵を考え,式に表していた。絵が複雑でたくさんの式が必要でも,一生懸命みんなで取り組んでいた。互いの交換も自分たちの絵が相手に通じたときは歓声もわきおこった。

6.おわりに
 数学は嫌いという生徒が多い中,数学(関数)を通し,楽しんで授業ができたことがなによりも大きな成果であった。単純に絵とグラフを結びつけた教材であるが,生徒は楽しみながら,しかも,生徒自ら複雑な絵を式に表すことをした。今後も,生徒が興味・関心が持てて楽しめ,充実感が味わえる教材を考えていきたい。


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