フランス革命200周年記念の一環としてパリ北東の元食肉処理場跡に建設されたラ・ヴィレットは科学産業年という意味である。科学技術を普及・啓発する目的で生まれたこの施設は従来のものとは全く異なった新しい発想と方法で科学と産業の姿を紹介する世界でも最大級の施設である。周囲を運河に囲まれ,敷地は35万平方キロメ−トルあり,年間500万人が訪れている。エキスプローラと呼ばれる展示場は音,光,映像などのメディアを駆使して宇宙,地球,生命,物質などを紹介している。また,水族館やプラネタリウムもある。
全体が銀色に輝くジェオードと呼ばれる巨大な球形映写施設では超広角レンズのオムニマックス映写機とものすごい音響効果のスピーカーシステムで科学映画を上映している。
ラ・ヴィレット入口 |
ジェオード全景 |
周辺一帯は公園になっていていろいろな施設があり,まさに「年」そのものであり,パリの新しい名所になっている。このような奇想天外なタイプの科学館のあり方についての評価は,訪れる人によって分かれると思われる。フランス国民の未来志向型の面が現れているといえよう。
パリ市内のその他の科学史跡
カルチェラタンの中心にあるパンテオン寺院はルイ15世が建立を指示し,およそ30年かかって1789年(フランス革命の年)に完成した。幅110m,高さ83mの巨大なドームでフーコーが振り子の実験をして地球の自転を証明したことは余りにも有名であり,現在も振り子がつけられている。地下はフランス文化の発展に寄与した人達の墓所になっていて,ユーゴー,ルソー,ボルテール,ゾラ,ドラクロアなどの他,科学者ではジャン・ペラン,カルノー父子,ランジュバン,ゲイリュサック,アラゴー,ラグランジュ,ピエール&マリー・キュリー夫妻などが埋葬されている。
また,市庁舎近くにある高さ52mのサン・ジャック塔で1648年にパスカルによって水銀を用いた気圧の測定がなされ,気圧が高さによって変わることが示された。この塔の入口にパスカルの像がある。
パンテオン |
サン・ジャック塔 |
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