令和3年度以降用教科書「未来へひろがるサイエンス」
2年p.153の実験2 水に電流を流したときの変化
3年p.113の実験2 うすい塩酸の電気分解
実験の際には教科書や指導書の注意事項に加えて,以下の点に十分ご注意いただきますようお願い申し上げます。
【追実験と結果】
〇器具:電気分解装置(ケニス株式会社;YE)
○方法:電源装置の電圧や水溶液の濃度による気体発生のようすを比較した。
<電源装置の電圧>
3V,6V(教科書の「方法」の電圧),9V,12V
<うすい水酸化ナトリウム水溶液の濃度>
2.5%(教科書の「方法」の濃度),5.0%
<うすい塩酸の濃度>
2.5%(教科書の「方法」の濃度),5.0%
○結果:教科書の「方法」に沿った条件で,安全面を確認できた。
傾向として,電源装置の電圧が大きいほど,水溶液の濃度が高いほど,気体の発生が激しく,陰極側の水素が4目盛りまでたまる時間が早かった。(教科書の「方法」に沿った条件のとき,陰極側の水素が4目盛りまでたまる時間は,うすい水酸化ナトリウム水溶液のとき約4分,うすい塩酸のとき約2分)
また,教科書の「方法」に沿った条件でも,陰極側から発生する水素が装置背面へ回り込むようすが確認された。
よって,装置背面には,少量ではあるが,水素と酸素の混合気体が発生していると考えられる。したがって,装置背面の穴に火を近づけないよう注意が必要である。また,電源装置の電圧が大きいほど,陰極側から装置背面への水素の回り込みが多くなるので,むやみに電圧を上げ過ぎないよう注意が必要である。
【実験を行う際の注意点】
万が一,装置背面の穴に火を近づけると,水素と酸素の混合気体が一定量発生していた場合,引火して爆発し,装置が破損して水溶液が飛散する危険性がありますので,ご注意願います。合わせて,教科書にも示している以下の条件を守っていただきますよう,お願いいたします。
① 必ず保護眼鏡を着用する。
② 決して装置背面の穴に火を近づけない。
陰極側の気体を確認するときは,必ず電源を切って,装置上面の穴からゴム栓を外し,すばやく火を近づけるようにする。
③ 電源装置の電圧は6Vより大きくしない。
電圧は6Vで十分に電気分解を行うことができる。電圧を大きくすると,陰極側から装置背面へ水素が回り込みやすくなるので,電圧をむやみに上げないようにする。
④ 水溶液の濃度は2.5%,量は100㎝3 とする。
水溶液の調製は,指導者が行う。
⑤ 陰極側の水素の捕集量は4目盛りまでとする。
4目盛りをこえて電流を流し続けると,装置の下のほうで発生した水素と酸素が混合されたり,背面からもれてしまったりして,気体の確認のときに危険である。
※ 本実験に限らず,事前に予備実験を必ず行うとともに,器具に不具合がないことをご確認願います。