学習指導要領では,「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を求めている。これを実現させるために,イメージマップという「思考ツール」を活用して,生徒自身が「自分の意見を作り出す」ことができるように意識して授業実践に取り組み続けている。
「イメージマップ」とは,中心に示された言葉(以下,鍵概念という)から連想する言葉をできる限り書き出し,鍵概念から連想した言葉を起点とし,さらに連想した言葉を外側に広げていくものである。
イメージマップの活用は,生徒が持つ知識や思考を整理して自分の意見をつくりだすとともに,学習を振り返りながら文章で表現させることで,指導改善や学習改善につながり,「主体的に学習に取り組む態度」を育成することができると考える。
今回の実践は令和2年8月25日から9月17日の期間に単元「身の回りの物質」において「プラスチック」を題材として実践研究を行なったものである。その際に「プラスチック」に加えて「環境」と言う言葉を合わせて鍵概念として提示することで,身近な物質である「プラスチック」と言う視点を通して,「環境」に対して主体的に考え,自分の意見を持ち,行動できる力(「主体的に学習に取り組む態度)」を育成できると考えた。
時間 | ねらい・学習活動 | 重点 | 記録 | 備考 |
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0 |
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知 |
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1 |
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知 |
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2 |
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知 |
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3 | 知 | ○ |
(パフォーマンステスト) |
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4 |
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思 |
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5 | 思 | ○ |
(文章記述) |
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6 |
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態 |
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7 |
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態 |
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8 |
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知 |
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9 |
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知 |
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10 |
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思 | ○ |
(行動観察・文章記述) |
11 |
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態 | ○ |
(文章記述) |
今回の実践の結果,評価Aと評価Bの割合を合わせると「満足できる状況」がおよそ98%と高い結果になったことから,イメージマップを活用して学習を振り返らせることによって「主体的に学習に取り組む態度」を育成できたと考える。また,「地球温暖化や化石燃料について」や「リサイクルについて」,「自然界の生物への影響について」,「レジ袋やエコバッグについて」など多くの生徒が「環境」について記述することができた。このことから,「環境」に対して主体的に考え,自分の意見を持ち,行動できる力(「主体的に学習に取り組む態度」)を育成することができたと考える。なお,この振り返りシートの活用を通して,「環境」に対して生徒がイメージする言葉を授業者が知ることができた点は,「指導と評価の一体化」の観点から,今後の環境教育指導に大変有意義であると考える。
「プラスチック」と「環境」を鍵概念としてイメージマップを作成し,学習の振り返りを行うことで多くの生徒が学習内容に関して自己の成長や変容を表現したり,「環境」に対して自分の意見を持ったりすることができるようになった。
一方で,評価の割合を見ると評価基準が比較的易しいものであったように感じる。今後の学習状況に応じて,生徒自身に自分の意見を持たせながら,自分の意見を持つにあたって活用した知識・技能や,学習を進める際の対話の様子,学習を通して新たに気づいたことや大切だと感じたことなどについて,学びの過程や意見の根拠をより具体的に示させていきたい。
また,リサイクルや地球温暖化については,意見が別れたり,獲得した知識に誤りが見られたりしている生徒も複数いた。全体で共有し議論を深めることで,さらに学びは深まるものと思われる。今後,学習内容や学習状況に応じて指導をしていきたい。
「プラスチック」の学習時期が見直され,中学1年生での実施について少しハードルが高くなったものの,第1学年の早い時期に,生徒にとって身近な有機物の一つである「プラスチック」という視点から「環境」について考える機会を設けることは,大変有意義であると考える。
学習前後に「イメージマップ」を活用して学習を振り返らせることで,「主体的に学習に取り組む態度」を育成しながら,評価にも活用しつつ,授業改善や学習改善に生かすことができるものであると考える。
学校や学年によって,特に生徒に育成したい資質・能力や生徒が抱える課題は多様であるため,多くの先生方の参考になれば幸いです。