「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第2学年における目標の一つに,「事象を数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。」とある。本単元は,具体的な事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり,式の意味を読み取ったりする能力を養うことができ,見通しを持ち,筋道を立てて考える論理的な思考力を育てることになる。第2学年になり,変数を2つにするために,二元一次方程式を用いることにより,1つの変数のみで考える一元一次方程式では表現しにくい条件や数量の間の関係がとらえやすくなり,はるかに簡単で能率的に解決できることが多くなる。特に立式の段階においては,数量の関係を捉えて,ある特定の量に着目したり,捉えた数量を表や線分図などで表してその関係を明らかにしたりすることも有効である。また,連立二元一次方程式の学習では,2つの条件を満たす解を求めるという考え方,さらには,1つの文字を消去すれば,既習の一元一次方程式に帰着させて解くことができるという考え方を通して,数学的に考察していくことの良さを感じさせることが可能になる。
このように,本単元は,数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を高めることができるよい教材であると考える。単に,答えが出せれば良いわけではなく,どのように考えたかに焦点を当て,それらを比較検討し,主体的で対話的な深い学びの実現を目指している。
第2学年 第2章 連立方程式 2節 連立方程式の利用(本時1/5)
本時では,問題文の中から数量の関係を読み取り,二元一次方程式を2つ作ることで,連立二元一次方程式を利用していくことになるが,指導に当たっては,あえて連立二元一次方程式にこだわらず自由な発想を促していきたい。たとえば,数量の関係や法則などを数やことばの式,□,△などを用いた式に表すことや,表や一元一次方程式を用いて解いていく姿も肯定的に認めてあげたい。既習事項をもとに出た様々な考え方を比較し,検討する中で,文字のもつ一般性について丁寧に取り扱い,文字に対する抵抗感を和らげながら理解させるとともに,様々な考え方がある中でも,文字を用いて考えることのよさを実感させたい。特に,変数を2つにして立式し考察できることは連立二元一次方程式のよさであると考える。さらに,文字を用いることで,数量や数量の関係等が一般的に表されるよさを理解させ,問題解決に文字や式を使っていこうとする主体的に学びに向かう力も養いたい。
連立方程式を活用して問題解決を行うことのよさを実感し,連立方程式を用いて解く過程や考え方を説明できるようにする。
過程 時配 |
指導と学習活動 | 配慮事項 |
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導入 5分 |
★フラッシュ型教材で復習を行う。 「連立方程式の簡単な計算」 |
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課題 |
★課題を把握する。
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★学習課題をたてる。 |
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わからない数量を明らかにするにはどうすればいいのだろうか。 |
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例題 1個130円のプリンと1個100円のゼリーを合わせて34個買い,ちょうど4000円になるようにしたい。プリンとゼリーをそれぞれ何個ずつ買うといいでしょうか。 |
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自力 |
★自力解決する。
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比較 |
★比較検討する。 〇班の中で発表する。
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★クラスの中で発表する
答え プリン20個,ゼリー14個 |
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適用 |
練習 あるレジャー施設の入園料は,おとな2人と小学生1人で4500円,おとな1人と小学生2人で3600円になります。 |
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まとめ |
求めたい数量を |
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学習課題 わからない数量を明らかにするには,どうすればいいのだろうか。 例題 〇130円のプリン ?個 |
生徒の考え |
合わせて34個買い, ちょうど4000円になるようにする。 |
まとめ 求めたい数量を |
【参考文献】