前時まで,比の意味と表し方,比の値の意味と求め方について学習してきている。本時では,その考えを基に比の相等の意味や性質を理解させることをねらいとしている。指導にあたっては,具体的な場面によって理解させるようにすることが大切である。
(1) 具体的な場面で比が等しいことに気づく教材の工夫
「同じ時刻にかげの長さを測定した」という場を設定する。
同じ時刻に測定したのはどれだろう
棒とかげの長さの割合が同じものとそうでないものを提示することで,棒とかげの長さに自ら着目し「棒とかげの長さの割合」,「棒と棒,かげとかげの長さの割合」に気づくことができる。
(2) 等しい比の性質に自ら気づき,その意味を理解をさせるための工夫
等しい比の性質に気づかせる際には,「これも同じ時刻に測定したものだろうか」と具体的な場面(エとオ)を提示する。式と具体的な場面を結びつけさせることで,比の性質に気づくことができる。
比の値が等しいとき2つの比は等しいことがわかり,その性質を調べることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
---|---|---|
1 | 同じ時刻に調べたのは,どれかを考える。 |
かげの長さは,棒の長さで決まることを測定の絵をみせて具体的につかませた後,課題解決させる。 |
2 | 比の値を求め,等しい比の意味,用語を知る。 |
比の値と比の性質,2つの考え方を整理し,等しい比の意味をおさえる。 |
3 | 等しい比の性質を理解する。 |
等しい比の性質を自分たちから見いだすように①同じ数をかけたもの②同じ数で割ったものを順に提示していく。
具体的な数の等しい比から,教科書を見せて一般化を図る。 |
4 | 練習問題を解く。 <一斉練習> ①4:6=20:□ ②5:4=□:32 ③30:40=3:□ <個人練習> 2つの比が等しいか調べましょう。 ④4:6と12:18 ⑤20:35と40:70 ⑥15:25と3:5 ⑦3:4と4:5 ⑧6:8と9:12 |
20÷4をすると,5倍になっています。だから,6×5をします。 比の性質を使った練習は,カードを使って一斉で行う。等しい比かどうかを調べる練習はプリントで行い,比の値や等しい比の性質のどちらを使ってもいいようにする。 |
5 | 本時のまとめを行う。 |
|
(1) 「同じ時刻にかげの長さを調べたのはどれだろう」と問うことで子どもたち自らが「かげは棒の何倍だろう」と比の値に着目していった。また,教科書に提示された(ア)(イ)だけでなく(ウ)のように等しい比ではないものを入れることで,等しい比にに気づき,理解が深まった。
(2) 等しい比の性質を見出す場面では,式と場面を対応させながら指導したことで「比の両方の数を同じ数でかけたり,同じ数でわったりしてできる比は等しい」という比の性質に児童自ら気づき,理解することができた。