前学年までは測定値の平均について学習してきている。ここでは,資料の代表値としての平均について知り,平均についての理解を深めることをねらいとしている。そこで,いくつかの数量があったとき,それらを同じ数量にならすという意味を踏まえながら,集団の特徴を表す値として平均が用いられることに触れるようにする。
その際,平均が同じような場合でも,値が密集しているか分散しているかによって特徴が異なることなどについて理解できるようにすることが必要である。
(1) 資料の代表値としての平均や散らばりに気づく教材の工夫
①自分たちのクラスのソフトボール投げの記録と他校の記録を段階的に出し,比較させる。
第1段階(教材1)
実際のデータなので,子どもの気持ちを配慮して,出席番号順ではなくばらばらの順番で提示する。
実際のデータなので,子どもの気持ちを配慮して,出席番号順ではなくばらばらの順番で提示する。
第2段階(教材2)
教材1と人数が違っているもの(違いは2~3人ぐらいまで),平均は同じだが,散らばり具合が違うものを提示する。
教材1と人数が違っているもの(違いは2~3人ぐらいまで),平均は同じだが,散らばり具合が違うものを提示する。
②2つの資料を色分けしたドット(点)で数直線上に並べて比較させる。
ソフトボールの記録を色シールで貼ることで,ちらばりに着目できる。
(2) 代表値としての平均の意味を深める教材の工夫
教科書教材
ちらばりの様子が分かるよう数直線上に表す。
全国の6年生の資料
全国の資料は柱状グラフで表す。
代表値としての平均の意味が分かり,2つの資料の特徴を平均や散らばり具合に着目して読み取ることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | クラスのソフトボール投げの記録を見て話し合う。 |
記録表から自由に読み取らせていくが,自分の記録や最大値,最小値などを読み取らせたい。 |
2 | 自分たちの学校と比べながら読む。 |
自分たちの記録の読み方を生かして,他校の記録を読み取るようにしていく。その中で,どちらの記録がよいといえるかを考えさせ,平均を出す必要感をおこすようにする。平均の計算は電卓を使わせる。 |
3 | 平均で比べる。 |
平均が同じ2つの集団は同じだといえるのかを考えさせ,散らばりに着目させていく。 |
4 | ちらばりで比べる。 |
自分たちのクラスの記録は,一人一人にシールを持たせて数直線に貼らせていく。A小学校の記録は,あらかじめ教師が貼っていた図を提示して読み取らせていく。
資料を比べるには,平均だけでなくちらばりからも考えることをおさえる。 |
5 | 資料の見方を深める。 |
さらに,ちらばりの様子や代表値としての平均についての見方が深まるように教科書のデータを数直線上に表して提示する。
最後に,全国のソフトボール投げの結果を表した柱状グラフを提示して,さらに考察を深める。 |
6 | まとめをする。 |
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(1) 「資料を調べてみたい」という興味が湧くように,自分たちのソフトボール投げの記録と近隣の小学校の記録を教材にしたことで,進んで資料を読み取ることができた。
(2) 身近な資料から導入し,最後は全国の記録の柱状グラフを提示したことで代表値としての平均の意味理解が深まった。
(3) 2つの資料の比較読みをすることで,資料のちらばりの様子や代表値としての平均の意味が理解できた。