比は,二つの数量AとBの割合を,同じ基準となる大きさを基にして,簡単な整数の組を用いて表す(A:B)方法である。
これまで,二つの数量の大きさを比較しその割合を表す場合は,どちらか一方を基準量として,AはBの何倍かなどについて学習してきている。ここでは,共通の基準量が変わっても,二つの数量の割合が変わらないことや比の意味について理解することがねらいである。
また,日常生活から比が用いられる事象を探したり,それを活用して物事を処理したりすることができるよう指導することが大切である。
(1) 身近な問題で,二つの量の比べ方がいろいろできる教材の工夫
これまで学習した二つの量の比べ方(差,倍)を振り返りながら,新しい二つの量の表し方である『比』の導入につなげることができる。
(2) 児童自ら基準量を決め,二つの数量で表すことに気づく算数的活動の工夫
割合はどれも同じではあるが,基準となる量(袋に詰める量)を自分で決めることで,「赤りんご○袋と青りんご□袋」のようにいろいろ表せることに気づき,経験できる。
いろいろな基準量を決め,二つの数量の割合の新しい表し方(比)について考えることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | りんごの数を比べる。 |
りんごの絵だけを出すことで,「うわ~,たくさんある」「どちらが多いかな」という声が出て,比べてみたいという意欲がわく。その後,数値を示すことで差や倍で比べさせていくようにする。
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2 | 赤りんごと青りんごを,同じ数ずつ袋に詰めると何袋ずつできるか,考える。 |
方法や意味が分からない場合は,具体的に10個の場合を考えさせ,袋に詰める操作をやってみる。その後,自分で袋に入れる数を変えて,袋に詰める活動をしながら見つけていくようにする。 |
3 | 結果を出し合う。 |
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4 | 比の表し方と用語を知る。 |
割合の表し方の一つとしての比を,袋詰めの活動を基にして,具体的に知らせる。 |
5 | 比の表し方の練習をする。 (1) 基準量を自分で決め,比に表す。 |
比は基準量を決めると,いろいろ表せることを知らせ,お金の問題でシェマ化しておく。 |
(2) 個人で練習する。 (教科書P62より) |
①ドレッシングのす30mlとサラダ油50mlの比
②赤のリボン4mと青のリボン2.5mの比 ③ポットの水3/4Lとやかんの水5/8Lの比
簡単な比の表し方を練習し,比の良さに気づかせていくようにする。 |
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6 | 身の回りで比の使われているところを考え,本時のまとめをする。 |
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(1) 児童にとって身近な問題を教材として扱ったことで,どの子も興味・関心をもって授業に参加することができた。また,これまでの二量の比べ方を振り返ることができ,その考え方の基礎の上で比の表し方へとつなげることができた。
(2) 袋に詰める場を設定し,具体的に袋詰め(線で囲む)の活動を取り入れたことで,基準とする共通な量に気づき,基準量によっていろいろな比の表し方があることを視覚的にも捉えることができた。