6年 比

基準となる共通量を自分たちで考えた比の表し方

1 指導のねらい

比は,二つの数量AとBの割合を,同じ基準となる大きさを基にして,簡単な整数の組を用いて表す(A:B)方法である。

これまで,二つの数量の大きさを比較しその割合を表す場合は,どちらか一方を基準量として,AはBの何倍かなどについて学習してきている。ここでは,共通の基準量が変わっても,二つの数量の割合が変わらないことや比の意味について理解することがねらいである。

また,日常生活から比が用いられる事象を探したり,それを活用して物事を処理したりすることができるよう指導することが大切である。

2 私のアイディア

(1) 身近な問題で,二つの量の比べ方がいろいろできる教材の工夫

これまで学習した二つの量の比べ方(差,倍)を振り返りながら,新しい二つの量の表し方である『比』の導入につなげることができる。

(2) 児童自ら基準量を決め,二つの数量で表すことに気づく算数的活動の工夫

割合はどれも同じではあるが,基準となる量(袋に詰める量)を自分で決めることで,「赤りんご袋と青りんご袋」のようにいろいろ表せることに気づき,経験できる。

3 授業の実際

1 目標

いろいろな基準量を決め,二つの数量の割合の新しい表し方(比)について考えることができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 りんごの数を比べる。

 

ポイント
 りんごの絵だけを出すことで,「うわ~,たくさんある」「どちらが多いかな」という声が出て,比べてみたいという意欲がわく。その後,数値を示すことで差や倍で比べさせていくようにする。
りんごの数を比べてましょう。
赤りんごの方が20個多いです。
青りんごの方が20個少ないです。
赤りんごは青りんごの1.5倍です。60÷40=1.5だからです。
青りんごは赤りんごの2/3倍です。
2 赤りんごと青りんごを,同じ数ずつ袋に詰めると何袋ずつできるか,考える。
比べ方には,差や倍で比べる方法がありましたね。
今日の問題です。
赤りんごと青りんごを同じ数ずつそれぞれ詰めると何袋ずつできるでしょう。
僕は10個ずつ詰めよう。そうすると,赤りんごの方は6袋,青りんごの方は4袋になるね。
私は5個ずつ入れて,赤りんごが12袋,青りんごが8袋になったよ。
ポイント
 方法や意味が分からない場合は,具体的に10個の場合を考えさせ,袋に詰める操作をやってみる。その後,自分で袋に入れる数を変えて,袋に詰める活動をしながら見つけていくようにする。
3 結果を出し合う。
結果を出し合いましょう。
これを見て気づいたことはありませんか。
袋の中のりんごが多いと,袋の数は少ないです。
でも,りんごの数は同じだよ。
袋の数で比べると,どれも1.5倍だ。
4 比の表し方と用語を知る。
袋の数で比べたとき,赤りんご3袋と青りんご2袋の場合を割合で表すと,3:2と書いて,「三対二」といいます。このように表された割合を「比」と言います。他の袋の数も,比を使って表してみましょう。
10個ずつ詰めたときは,6:4だ。
ポイント
割合の表し方の一つとしての比を,袋詰めの活動を基にして,具体的に知らせる。
5 比の表し方の練習をする。
(1) 基準量を自分で決め,比に表す。
次の問題を,比で表そう。
兄が500円,弟が300円持っています。兄と弟の割合を比で表しましょう。
簡単!500:300です。
わけをいいます。それは1円玉で考えたからです。
他にもあります。100円玉で考えると,5:3です。
50円玉で考えると,10:6です。
10円玉で考えると,50:30です。
5円玉で考えると,100:60です。
ポイント
 比は基準量を決めると,いろいろ表せることを知らせ,お金の問題でシェマ化しておく。
  (2) 個人で練習する。
(教科書P62より)
①ドレッシングのす30mlとサラダ油50mlの比
②赤のリボン4mと青のリボン2.5mの比
③ポットの水3/4Lとやかんの水5/8Lの比
①は簡単だ。比は30:50だね。
②や③は分数を使っても表せるんだね。
比較する2つの数をそのまま使って表せるから,比はとっても便利だね。
ポイント
 簡単な比の表し方を練習し,比の良さに気づかせていくようにする。
6 身の回りで比の使われているところを考え,本時のまとめをする。
身の回りで,「比」が使われているのを見たことがありますか。
そうめんのつゆは「水2:つゆ1」と書いてあった。
料理の番組で使われていたな。
これまでは一つの数字を使って割合を表していたけど,比は2つの数字をそのまま使って表せるから便利だね。

4 授業を終えて

(1) 児童にとって身近な問題を教材として扱ったことで,どの子も興味・関心をもって授業に参加することができた。また,これまでの二量の比べ方を振り返ることができ,その考え方の基礎の上で比の表し方へとつなげることができた。

(2) 袋に詰める場を設定し,具体的に袋詰め(線で囲む)の活動を取り入れたことで,基準とする共通な量に気づき,基準量によっていろいろな比の表し方があることを視覚的にも捉えることができた。

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