「速さ」は,「単位量あたり」で学習したように異なる二つの量の割合としてとらえる量である。従って速さを求めるには,「移動する長さ」と「移動にかかる時間」という二つの量が必要になり,「速さ」は,単位時間あたりに移動する長さとしてとらえられるようにすることがねらいである。
その際,二つの量をどのように関係づけたらよいかを子どもたち自身が考え,見つけ出していくようにすることが大切である。
(1)「時間」と「長さ」の二つの量の必要性に気づく問題提示の工夫
時間だけを示し,どちらが速いかを問うことで,道のりの必要性に気づくことができる。
問題
さくらさんは,7秒で走りました。
すみれさんは,6秒で走りました。
どちらが速いでしょうか。
(2)速さを体感する活動の工夫~すり足競走~
10秒間のすり足競走をすることで進んだ道のりが長い方が速いということが体感できる。
速さを比べるには,時間と道のりが必要なことに気づき,一単位量あたりの大きさで比べることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 問題を読んで速さ比べについて話し合う。 |
問題さくらさんは、7秒で走りました。
条件不足の問題を提示することで,速さを比べるには,道のりと時間の二つの量が必要であると気づかせた後,二量を表した表を提示する。 |
2 | どちらが速いか自分なりに考える。 |
既習の単位量あたりの考え方を使って,1mあたりや1秒あたりで考えると求められることをとらえさせる。 |
3 | 考えた結果を出し合い,速さの意味を知る。 |
すみれ 50÷7=7.14…
さくら 40÷6=6.66… 1秒間あたりに走る道のりが,長いほど速いから,すみれさんが速い。
すみれ 7÷50=0.14
さくら 6÷40=0.15 1mあたりにかかる時間が短いから,すみれさんが速い。
速さの定義につなぐために,1秒間あたりに走る道のりで比べるとわかりやすいという発言を取り上げて速さのまとめとする。 |
4 | 速さを求める練習をする。 |
練習問題まりこさんは,50mを9秒で走りました。 |
5 | すり足競走をする。 |
計測しやすいように10秒間のすり足競走をさせて,長さを測定する。 その後,1秒間あたりの長さを求めるようにする。 |
6 | 本時のまとめをする。 |
ボルト選手のオリンピックでの記録(100Mを9.63秒)を提示し,電卓を使って1秒間あたりの長さを求め,感動させる。そして,自分の記録も求めてみたいという意欲をもたせる。 |
(1) 二人の走ったタイムを示し,どちらが速いか問うことで,道のりがわからないと速さが求められないということに気づいていった。
(2) 速さを比べるには,既習事項の単位量あたりの考え方を使って,1秒あたりに進んだ道のりや,1mあたりにかかった時間で比べられることがわかった。
(3) 速さを実感させるために10秒間のすり足競走をしたことで,きめられた時間に進む道のりが長い方が速いことを実感できた。
また,ボルト選手の1秒間に進む長さを示したことでいかに速いかを実感し,速さへの関心が高まった。