5年 単位量あたりの大きさ

単位量あたりの大きさで比べるよさに自ら気づく指導

1 指導のねらい

ここでは,異なった二つの量の割合でとらえられる数量を比べるとき,三つ以上を比べたり,いつでも比べられるようにしたりするには,単位量あたりの大きさで比べるとより能率的に比べられることを知らせ,それを用いて比べることができるようにすることをねらいとしている。

2 私のアイディア

(1) 比べてみたいという意欲がわき,どの子も取り組める問題場面の工夫

日常生活で誰もが経験したことのある買い物の場面で,1あたり量に着目しやすいりんごの絵を提示する。

どの店のりんごが1番安いでしょう。

りんごの絵を提示することで,どれが1番安いかという問いが出て,1個の値段や個数をそろえて比べることができる。

(2) いろいろな比べ方から,単位量あたりの大きさで比べるよさに気づく教材提示の工夫

教材1

1個の値段だけでなく値段を同じにしたり個数をそろえたりして比べることができる。

教材2

いろいろな比べ方をしながら,1個あたりで比べるよさに気づくことができる。

教材3

(教科書教材)
  A室 B室
たたみの数 10枚 8枚
子どもの数 6人 5人
単位量あたりの大きさで比べる方法を活用することで,1人あたりや1枚あたりの両方から考えることができる。

3 授業の実際

1 目標

異種の2つの量の比べ方をいろいろ工夫し,よりよい比べ方として単位量あたりの比べ方がわかり,説明することができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 絵を見てめあてをつかみ,自分なりに解決する。
りんごを買います。
問題①
C店が1番安いと思います。
A店は3個で300円だから1個100円するし,B店は1個90円,C店は80円です。
みんなどれが安いかと比べているようですが,今日のめあては(だまって貼る),
どの店のりんごが1番安いでしょうです。
C店が安いです。
  Aは300÷3=100円
  Bは180÷2=90円
  Cは480÷6=80円だから
同じです。1個の値段を出すとすぐに分かります。
他の比べ方もあります。
ポイント
りんごの絵を提示すると,自然にそれぞれの店のりんごの個数と代金に目が向き,どれが安いかと考えていく。その2量をとらえた後,比べ方を考えさせていくようにする。
2 他の比べ方を考える。
他にも比べ方がありそうですね。いろいろな比べ方を考えてみましょう。
りんごの個数も値段も違うので,みんな6個買ったとすると

C店が1番安いです。
だったら値段を同じにしてもいいのでは?
300円と180円,480円なので…
最小公倍数をみつけるといいけれど…
難しいです。
ポイント
1個分の値段や,個数か値段をそろえて比べる方法が考えられるが,ここでは値段をそろえて比べる方法は無理に出さなくてよい。
3 問題②をする。
どちらの店が安いでしょうか。
問題②
3通りの方法で比べることができました。
1個の値段と,値段を400円にそろえるのが簡単でした。
比べ方には,個数か値段のどちらかをそろえるといいことがわかりました。
ポイント
1個の値段,値段を同じにする,個数を同じにする方法が出るが,無理に1個の値段で比べる方法にまとめなくてもよい。
4 問題③をする。
どちらが安いでしょう。自分の好きな方法でやってみましょう。終わったら,他の方法もやってみましょう。
問題③
5 比べ方を検討して,単位量あたりの大きさで比べるよさを知る。
比べてみてどうでしたか。
1個の値段で比べるのが簡単でした。
個数を同じにするには21個にしたらいいけれど…。数が多くなりました。
値段をそろえるのはいくらに合わせていいかわからなかったです。
どの比べ方がいつでもできそうですか。
1個の値段で比べる方法です。
個数や値段を同じにするのは数が少ないときはできるけれど,多くなるとめんどうです。
そうですね。1個あたりの値段で比べる方法がいつでも使えます。この方法を単位量あたりの大きさといいます。
ポイント
りんごの個数や全体の値段をそろえて比べる方法は,数値によってはしにくいことに気づかせ,単位量あたりの大きさで比べるよさに気づかせるようにする。
6 問題④をする。
次は,単位量あたりの大きさを調べて比べましょう。
問題④
どちらがこんでいるでしょう。
  A室 B室
たたみの数 10枚 8枚
子どもの数 6人 5人

ポイント
畳の枚数や人数をそろえる方法も考えられるが,ここでは単位量あたりの大きさで比べる方法に焦点化して,その出し方と意味を知らせ,用いられる場を広げていくようにする。

1人分の畳の枚数,1枚あたりの人数ってどんなことかわかりますか。
人分の広さだから数が多い方が広いのでゆっくりしています。数が少ない方が窮屈で混んでいます。
1枚あたりの人数は広さが同じだから,人数が多い方が窮屈で混んでいます。
ポイント
単位量あたりの大きさを求めても,その意味がとらえられず答えの処理がうまくできないこともある。そこで,上のような図に表したものを提示し,イメージ化を図る。
7 まとめをする。
今日の学習をまとめましょう。
2つや3つのものを比べるときは,どちらか一方をそろえると比べられることがわかりました。
いろいろな比べ方があったけれど,1人あたりの量などがいつでも使えることがわかりました。
ポイント
どのような問題にも適用でき,簡単に求めることができる単位量あたりの大きさで比べるよさについてまとめる。

4 授業を終えて

(1) りんごを素材にして,どの店のりんごが安いかという課題で段階的に問題を解決していくことで,いろいろな比べ方を経験しながら単位量あたりの大きさで比べることのよさに気づくことができた。

(2) 部屋のこみぐあいを調べる練習問題をとおして,1人あたりや1枚あたりの量の両方から比べられることがわかり,単位量あたりの大きさの意味も理解できた。

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