本単元では,図形の合同を理解できるようにすることがねらいである。二つの図形がぴったり重なるとき,つまり,形も大きさも同じであるとき,この二つの図形は合同であるという。二つの図形が合同であるとき,対応する辺の長さや対応する角の大きさは,それぞれ等しい。合同な図形を見付けたり,かいたり,作ったりする活動を通して,図形の性質を見付けたり,確かめたりできるようにすることが大切である。また,二つの合同な図形が,ずらしたり,回したり,裏返したりして置かれた場合でも,その位置に関係なく,必要な辺と辺,角と角の対応が付けられるようにすることが大切である。
(1) 合同の概念を自ら発見する教材の工夫
右のような既習の複数の基本図形(11個)を提示して,“③の図形(不等辺の三角形)と同じ図形とは,どれでしょう”という課題設定をする。③と⑤,④と⑨は合同な図形である。また,⑧と⑩は,③と⑤の図形と相似の関係にある。提示する図形に,形は同じで大きさが違う図形(相似)と形も大きさも同じ図形(合同)を入れて提示することで,合同の概念を子どもたちが自ら発見していくことができるようにする。
(2) 合同の概念を自ら発見する算数的活動の工夫
右の③⑤⑧⑩の図形が“なぜ同じ仲間なのか?”ということを考えることで,図形の形と大きさに目を向けさせるようにする。この活動をとおして,この中には,形が同じで大きさが違う図形(相似)と形も大きさも同じ図形(合同)があることを発見させるようにする。その際に,三角形の向きを同じ方向にそろえたり,実際に重ねたりする操作活動を取り入れることで,実感をともなって理解することができるようにする。
不等辺の三角形と同じ図形を見付ける活動を通して,合同の意味を理解することができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | ②(平行四辺形)の図形について知っていることを発表する。 |
平行四辺形について知っていることを発表させることにより,図形の構成要素である角や辺,平行などの観点に目を向けさせる。 |
2 | ③(不等辺三角形)と同じ仲間の図形を考える。 |
③⑤⑧⑩は相似の関係にある。しかし,大きさも向きも異なることからこれらの図形が同じ仲間と見ることができない子どもたちも多くいる。そこで,この意見を発表した子どもに理由は言わせずに,みんなでなぜ同じ仲間なのかを考える課題にする。 |
3 | ③(不等辺三角形)と同じ仲間の図形を話し合う。 (1) 形が同じで大きさが違う図形について話し合う。 |
子どもたちが,“あれ,なぜだろう?”“やってみたい!”という意欲が高まったときに,グループ学習を取り入れることが大切である。 |
(2) 形も大きさも同じ図形について話し合う。 |
三角形の向きを同じ方向にそろえたり,実際に重ねたりする操作活動を取り入れることで,実感をともなって理解することができるようにする。 |
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4 | 教科書を使って,合同についてまとめる。 |
【学習のまとめ】2つの図形がぴったり重なるときは,これらの図形は,合同であるといいます。 |
5 | 練習問題をする。 |
裏返しをするとぴったり重なるときは,合同な図形であることを考えさせる。 |
6 | 自分たちの身の回りから合同な形を探す。 |
正方形や長方形のものばかりに目がいきがちであるが,それ以外の形にも目を向けさせるようにする。 |
7 | 学習をふりかえる。 | 学習のまとめでは,授業で分かったことや驚いたこと,もっと学習したいことなどを自分の言葉でまとめさせるようにする。 |
(1) 11種類の基本図形を提示し“③(不等辺三角形)と同じ仲間の図形はどれでしょう”と投げかけたことで,「あれ,どれだろう?」という疑問をもつことができた。その後,なぜ③⑤⑧⑩の図形は同じ仲間なのかを話し合うことで,合同の概念である“形も大きさも同じ”という見方を自分たちで発見することができた。
(2) ③(不等辺三角形)の仲間を探す際には,図形の向きをそろえたり,実際に重ねたりすることで,実感を伴って合同の意味をとらえることができた。