二つの整数の除法の結果は,必ずしも整数や有限小数で表すことができるとは限らない。それは,商を小数まで割り進んでも,割り切れない場合があるからである。そこで,図などをもとにa÷bの商を,a/bという分数で表すと,どんな時でも,除法の結果を一つの数で表せることから,分数の意味を深めることがねらいである。また,この時,商が整数や小数になる場合も,分数で表せることから,分数のよさを感じ取らせたい。
(1) a÷b=a/bになることを,算数的活動を通して一般化するための工夫
テープ図を使って,いくつかの長さを3等分したり,5等分したりする操作を通して,商としての分数が一般化できる。(この場合,テープは1mずつ縦に並べてかかせる。)
(2) 分数で表すよさに気づかせる工夫
除法の結果が整数や小数の場合も分数で表す経験をすることで,分数のよさに気づくことができる。
整数の除法の商を,分数で表す方法を理解し,どんな時でも分数で表せることがわかる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 問題を読んで考える。 |
問題
2mのテープを,同じように3人に分けると,1人分は何mになりますか。
量感をとらえやすく,操作もしやすいため,長さを取り扱う。 |
2 | 2÷3の商の表し方を考える。 【1mにして等分する】 |
2÷3の商は,1/3m,2/3mのどちらでしょうか。
1mずつ縦に並べて,テープを3等分する操作を通して,2/3mになることを知らせる。 |
3 | 4mや5mのテープの場合の商を考える。 【1mをかいて考える】 |
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4 | わり算の商を分数で表すことを知る。 |
テープの長さを変えて,3等分や5等分する操作を通して類推し,△÷□= と一般化する。 |
5 | 商が整数や小数の場合でも分数で表せることを知る。 【3つの場合で考える】 |
これまで,わり算の商を整数や小数で表していたのを分数で表すことから,商としての分数のよさに気づかせる。 |
6 | 練習をする。 |
練習問題
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7 | まとめをする。 |
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(1) 「2mを3等分した長さが,1/3mか2/3mか」という迷いを課題にしたことで,量感をもった商の表し方を考えることができた。
(2) 形式的になりがちだったわり算の商の表し方が,図をかくことによって,既習の分数の意味と結びつき,△÷□=△/□と一般化できた。
(3) これまでの,整数や小数の商を分数で表すことで,分数は,すべての商を表すことができるというよさに改めて気づかせることができた。