体積は,空間における三次元的な広がりを持つ立体の量であり,かさ,長さ,広さなどと同じように,単位や測定の意味を理解し,体積を求めることができるようにすることが主なねらいである。
ここでは,これまでの『量と測定』領域における学習と関連づけながら,長さや広さの学習から類推して,体積にも基準となる大きさがあることを知り,それを積み重ねていく活動を通して,図形を決定づける辺の長さに気づくようにしていくことが大切である。
教科書では,2つの直方体の大きさ比べを通して,面積やかさの学習を想起させながら,直接比較や普遍単位の幾つ分で比べたことを手立てとして問題の解決を図らせている。そこで,(1)これまでの学習から類推し,単位の必要性を見出す活動,(2)積み木(普遍単位)を用いて直方体の内部を埋め尽くす活動,を大切にして授業を考えたい。
(1) これまでの量の単位から,体積の単位が類推できる場の工夫
(2) 体積は三方向によって決まることが実感できる活動(1cm3の埋め込み)
直方体の大きさ比べを通して,かさを数値化する方法を考え,体積の概念を理解し,単位cm3を知る。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 比べられる量の仲間分けをし,長さやかさの比べ方や単位についてふり返る。 |
長さ,かさ,広さに関する計器や単位について振り返り,普遍単位について押さえる。 |
2 | 体積を比べる。 教科書のデジタル教材 |
どちらが大きいだろうか。
直観的に比較させた後,教科書を用いて直接比較では比べられないことを押さえ,これまでの量の学習から体積にも単位があることに気づかせる。 |
3 | 体積の単位1cm3を知り,積み重ねる。 |
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4 | 体積を求める練習をする。(教科書17ページ) |
単に計算して求めるのではなく,直方体の中に埋まる1cm3がいくつあるかを徹底して調べさせる。発展問題の練習を扱う際も,悩んでいる児童には1cm3の積み木を埋めさせながら調べさせる。 |
5 | 筆箱は何cm3ぐらいになるかを考え,本時のまとめをする。 |
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(1) 長さや面積の学習から類推して,体積にも単位の必要性を見出したあと,「きちんと埋められるもの」として,積み木などの立方体がいいことに気づくことができた。
(2) 実際に体積を調べる活動では,すぐに計算で求めようとする児童も現れたが,1cm3を埋め尽くす活動を一人一人に行わせることで,体積の量感を実感させることができた。