これまで,未知数の数量を表す記号として□を用いることや,□を用いて式に表すことを学習している。ここでは,この理解を基に,変量を表す記号として,□や△などを用いた式を適切に用いることができるようにすることがねらいである。
(1) 伴って変わる二つの数量に自ら着目できる学習問題の工夫
おはじきとりゲーム
おはじき10個- 2人組でじゃんけんをし,勝ったらおはじき1つを取り,なくなるまで続ける。
・結果を書く紙は,対応づけやすいように,□と△の形にする。また,それぞれの組の色画用紙か色枠にし,裏に磁石をつけておくとよい。
(2) □や△を使った式に表す意味やよさに気づかせるための工夫
次の一連の過程を1時間で取り扱うことで,□や△を用いた式の意味が理解しやすくなる。
- ① 2数量を対応づける
- ・数の組をつくる。
378255… - ② 表に整理する
- ・順序よく整理する。
赤(個数) 0 1 2 3 ・・ 9 10 青(個数) 10 9 8 7 ・・ 1 0 - ③ □,△を用いた式に表す
- ・きまりを使って式に表す。
赤の数と青の数を合わせると10になる。
赤の数 + 青の数 = 10
□ + △ =10
- ④ 式をよむ
- ・□や△にあてはまる数を考える。
(3) 練習問題の工夫
じゃんけんゲームで,おはじきが5こだったら,どんな表や式になるでしょう。
簡単な類似問題を提示し,自分でノートにかかせることで,表と□や△を用いた式の定着ができる。
おはじきとりゲームの結果から,2つの数量を対応づけ,表に表す活動を通してその変量関係に着目し,□や△を使った式に表すことができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |||||||||||||||||||||||||
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1 | おはじきとりゲームをする。 |
ルール
おはじきは10個にして,封筒に入れておく。カードは列ごとに赤組は□,青組は△にして,取ったおはじきの数をサインペンで大きくかかせる。 |
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2 | ゲームの結果を黒板にはり,対応の組をつくる。 |
個数をたずねながら,対応の組をつくらせ,同じ結果は,代表の組1つだけ残すようにする。カードが偏っていたら,A先生とB先生の結果として2~3組出すとよい。 |
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3 | 順序よく表に整理する。 |
最初の組は一緒に考え,赤の一番小さいカードから貼り,残りは自分たちで貼らせていく。
対応した数量の組をわかりやすく並べ替えることで,出ていない数の組や0~10までの変域についても気づかせ,表になっていく過程を経験させる。 |
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4 | 表を見て変わり方を調べる。 |
表にかかせることで,対応づけや順序よく整理する経験をさせる。
子どもたちの発言を大事にしながら,表の見方(横にみる,縦にみる)を分けて,黒板に整理していく。 |
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5 | きまりを使って,□や△を使った式に表す。 |
□や△の式に表せない場合は,表のカードの形に目を向けさせるとよい。 |
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6 | □や△を使った式を読む。 |
□や△に入る数を考えさせることで,□や△は変量を表すことを押さえる。 |
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7 | 練習をする。 |
練習問題じゃんけんゲームで,おはじき5こだったら,どんな表や式になるでしょう。ノートに表や式をかきましょう。同じ課題で,数を変えた練習をすることで,表のかき方や2量の変わり方,□や△を用いた式の意味の定着を図る。 |
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8 | まとめる。 |
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(1) おはじきとりゲームの結果をもとに,「対応」→「表」→「□や△を用いた式」までの過程を1時間で取り扱ったことで,□や△を用いた式が無理なく導入できた。
(2) □や△を用いた式から,□や△にあてはまる数を考えさせることで,変量としての□や△の意味が理解できたようである。
(3) 簡単な類似問題をすることで,表をかき,式に表す練習ができた。また,個別指導もでき,それが確実な理解につながった。