第4学年では,直線の位置関係(平行や垂直)や辺の長さに着目して,平行四辺形,ひし形,台形について理解できるようにすることがねらいである。そのためには,いろいろな四角形を構成し,それらを観察することを通して共通の性質を持つ図形に分類したり,それぞれの性質について調べたり,図形の約束や性質に基づいて作図したり,弁別したりする活動に取り組むことが大切である。
また,身の回りから平行四辺形やひし形,台形の形をした具体物を見つける活動も大切である。
(1) ひし形の動的な見方を育てる教材の工夫
台形や平行四辺形の学習を活かして,合同な2枚の長方形を動かしながらいろいろなひし形をつくり,その特徴や性質を見つけ出すことができる。また,正方形はその特別な場合であることに自ら気づくことができる。
(2) ひし形の意味の理解を深めるための算数的活動の工夫
台形や平行四辺形の学習を活かして,1時間の中で「図形の構成,観察,分類,性質を調べる,作図,弁別,身の回りから見つける」の一連の活動を取り入れることで,ひし形の意味をより深く理解できる。
合同な2枚の長方形の重なりからできる図形を取り出し,ひし形の特徴や性質を理解することができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 合同な2枚の長方形を重ねて四角形を作る。 |
前時までの学習の考え方を活かして,重なってできる形をイメージさせる。
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2 | できた四角形を取り出す。 |
提示するときは,重なり具合が見えるように,薄い上質紙を使い,ラミネート加工しておくと良い。できた図形を出し合うときはやや大きめの形を準備しておき,子どもの作った形を発表させながら黒板に貼っていく。 |
3 | できた図形を分ける。 |
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4 | ひし形の特徴と用語を知る。 |
隣り合う辺の長さが明らかに違う平行四辺形と比較させ,相違点を考えさせる。児童の気づきをもとにひし形の特徴を調べさせ,ひし形の定義と用語を押さえる。 |
5 | ひし形のかき方を話し合い,作図する。 |
1つの辺の長さを示して作図したあとは,自分で長さを決めて形や位置が色々なひし形をかかせる。もしかけない児童がいた場合は,教科書を参考にさせたり,二辺をかいた図を与えたりすると良い。 |
6 | 身の回りから,ひし形を見つける。 |
ひし形で敷き詰められた事象からひし形の特徴や美しさをとらえ,他の図形を見つけたり平行線の性質に気づかせたりして,図形の見方や感覚を豊かにする。 |
7 | 本時のまとめをする。 |
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(1) 既習の活動を想起させながら2枚の合同な長方形を操作させてひし形を見出したことで,動かし方によっていろいろなひし形ができるといった図形の動的な見方を育てることができた。また,平行四辺形での学習で学んだことを活用し,辺の長さや位置関係に着目して考えようとする姿が見られた。
(2) 「図形の構成,観察,分類,性質を調べる,作図,弁別,身の回りから見つける」の一連の活動を取り入れたことで,1時間の授業の中でひし形の意味をより深く理解することができた。