これまで,身の回りにある事象について目的に応じて観点を決め,資料を分類・整理したり,表やグラフに表したり読み取ったりすることについて学習してきている。ここでは,目的に応じて資料を集め,その資料を二つの観点から分類・整理し表を用いて表したり,特徴や傾向を捉えたりする能力を伸ばすことをねらいとしている。
また,分類・整理にあたっては,資料の読み飛ばしのないように順序よく数えること,あらかじめ起こり得る場合を整理すること,重複して数えることがないように数えた資料に色や印をつけることなど,数え間違いをなくす方法を具体的に指導することが大切である。
(1) 興味・関心を高め,二つの観点に自ら気づく教材の工夫
くじを引いた経験のある児童は多く,関心も高い。そこで,自ら二つの観点に気づくよう,色分けしたくじを準備する。
最初はくじの種類に目が向くが,分類・整理していくうちに色にも着目していくようになる。その段階でくじの種類と色の二つの観点で分類・整理していくと良い。
(2) 一次元表から二次元表への表し方がスムーズにできる工夫
資料を二つの観点から落ちや重なりがないように分類・整理する方法を考えまとめることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | ブラックボックスからくじを引き,黒板に貼る。 |
※くじの種類と色は以下の通り
黄色の大当たり3枚,当たり3枚,はずれ2枚 青の大当たり2枚,当たり1枚,はずれ2枚 緑の大当たり2枚,当たり4枚,はずれ1枚 ピンクの大当たり3枚,当たり0枚,はずれ1枚
くじは人数分用意するが,クラスの人数が少ない場合は,2回引かせても良い。 引いたくじは黒板いっぱいにバラバラに貼ることで,整理したいという気持ちが出るようにする。 |
2 | くじの結果を見て話し合い,一つの観点で分類・整理する。 |
<種類別で分ける>
<色別で分ける>
それぞれの観点で分けたものが黒板に残るよう,カードは2組用意しておく。 |
3 | くじの種類と色の二つの観点で分類・整理する。 |
2人に1組のカードとホワイトボードを配布して,実際に考えたことを,カードを動かしながら整理させる。 |
4 | 2人組で考えたことを出し合い,検討する。 |
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5 | 表に整理して,簡単なよみ方を知る。 |
表に整理する場合,二次元表は初めてなので,実態によって
合計欄の記入の仕方で迷いが出たら,事象(くじを引いた人数)に戻り,全員が理解できるようにする。 |
6 | 表のよみ方の練習 |
違う事象の二次元の表を用いて,表の見方の習得を図るようにする。数から事象を捉えたり,事象から数を捉えたりするなど,いろいろなよみ方を練習する。 |
7 | 本時のまとめをする。 |
学習を振り返って,二次元の表の良さや見方を,できるだけ子どもの声でまとめられるようにする。 |
(1) くじ引きを行ったことで,「結果を知りたい。」「もっと分かりやすく整理したい。」という意欲がわき,興味・関心をもって考察する姿が見られた。色や種類の違うくじを用いたことで,2つの観点で分類・整理する必要感が自然と生まれ,その後の学習も意欲を持って活動することができた。
(2) ホワイトボードを使ってくじのカードを自由に動かしながら分類・整理させたことで,カードを動かす過程で様々な考えが思い浮かび,より良い整理のしかたを工夫しようとする姿が見られた。考えたことを比較検討することで,二次元表につなぐことができる。