この教材は,図形の構成要素である,直線の垂直・平行の関係について知らせ,その観点から図形を見直し,四角形の理解を深めることをねらいとしている。ところが,子どもたちは一般的に垂直・平行の関係を,図形の用語を表す直角や辺と混同しがちである。そこで,2直線を身の回りから取り出したり,作ったり,かいたりする活動を通して,2直線の位置関係を表すものとして垂直・平行をとらえさせていく必要がある。
(1) 身の回りにある具体物から2直線を取り出す工夫
学校周辺の道路の地図を示すことで,道路の直線と直線の関係に着目できる。地図の道路は,直線の関係がわかりやすいように簡素化して提示する。本時では,垂直を扱うが,次時に,平行でも使えるように考えて地図を構成する。
(2) 2直線の関係としての垂直の特徴を自ら見つけ出していく学習活動の工夫
取り出す2直線は,観点の関係で7種類程度が望ましい。実態に応じて,例を提示して,仲間を集めさせてもよい。
垂直の関係が分かり,弁別することができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 地図の中から2直線を取り出す。 |
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2 | 取り出した2直線の仲間分けをする。 |
一人一人に7枚の2直線のカードをもたせて,自分なりの観点を決めて仲間分けをさせ,それぞれの考えを書かせて見取る。
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は,子どもが気づけば,それを取り上げて,もし出なければ,教師が問い,学び合いの場とする。 |
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3 | 垂直の意味と用語を知る。 |
2つの直線が交わってできる角が直角のとき、この2つの直線は垂直であるといいます。
用語は,子どもらしい言葉を大事にしながら,正しい言い方を教科書で押さえる。 |
4 | 垂直を見分ける (1) カードから |
直感で判断した後,三角定規の直角をあてたり,直線をのばしたりしながら,たしかめさせるようにする。 |
(2) 地図の中から |
絵地図から再度さがさせることで,垂直のいろんな位置関係でも見分けられるようにする。 |
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5 | 垂直を身の回りから探したり,つくったりする。 |
身の回りから見つけるときは,垂直な関係に付箋紙2枚を張り付けると,視覚的に捉えることができる。また,鉛筆2本でつくらせる場合には,自由につくらせたり,一方を,固定してつくらせたりすると,いろいろな位置関係で垂直をとらえることができる。 |
6 | まとめをする。 |
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(1) 自分たちの学校の回りという身近な地図から2直線を取りだしたことで,2直線の関係に親しみをもち,調べてみたいという意欲がわいた。
(2) 取り出した2直線を2つの仲間に分けることで,2直線の関係に気づき,垂直の特徴へと結びつけることができた。
(3) 身の回りから,垂直な2直線をさがしたり,鉛筆でつくったり,紙を折ってつくったりすることで,垂直の見方が豊かになり,理解が深まった。