4年 がい数とその計算

概数が用いられる場や意味に子ども自ら気付いていくには

1 指導のねらい

概数は,本来主体的な必要感に基づいて判断して用いられる数である。
 これまで,測定や買い物の場面で概数的な見方は学習してきている。ここでは,概数の意味を理解し,数を手際よく捉えたり処理したりすることができるようにするとともに,目的の応じて概数を用いることができるようにすることをねらいとしている。
 また,概数を用いると,大きさが捉えやすくなることや,物事の判断や処理が容易になるので,見通しを立てやすくなることなどの良さに気づくことができるよう指導することが大切である。

2 私のアイディア

(1) 身近な事象で概数が用いられる場に気付き,その意味を捉える教材の工夫

身近な事象で,正しく表す数とおよその数で表すものがあることに気付くことができる。

(2) 四捨五入による概数の表し方に気付かせる工夫

  1. 数直線を基に,どちらに近いかを捉えさせる。(4687,4182,4572)
  2. 4500を提示し,百の位の数に着目させる。迷いが生じたときは,438のに入る数字を考えさせることで,四捨五入の仕方に気付くことができる。

3 授業の実際

1 目標

概数が用いられる場が分かり,四捨五入による概数の表し方を考えることができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 山鹿市の人口を予想する。
このクラスは何人ですか。
私たちのクラスの人数は,24 人です。
この学校の人数は何人ですか。
僕たちの学校の人数は,255 人です。
山鹿市の人口は何人ですか。
え~。分からないな。
約5 万人ぐらいかな。社会で習ったよ。
人口は増えたり減ったりするから,だいたい5万5千人ぐらいじゃないかな。
ポイント
 正確な数字で表す場合と概数で表した方がよい場合があることに気付かせるために,自分たちが住む町の人口を取り扱う。もし人口の見当が付かない場合は,正確な数字を瞬間的に見せ,「だいたい」「およそ」「約」などの言葉を引き出す。
2 概数の意味や用語を知る。
山鹿市の人口は,約何万何千人といえるでしょうか。
約56000人だと思います。
だって,5987は6000近いからです。
あとちょっとで6000になるね。

ポイント
 数直線を基にして,概数の意味や用語を理解させる。
3 概数が使われている場と正確な数が使われている場面を考える。
次の数は,概数で表した方が良いですか。それとも正確な数で表した方が良いですか。

ポイント
 日常生活や生活経験の中で,概数が用いられる場と正確な数が用いられる場に分けることで,概数が用いられる場や意味を知らせる。
4 概数の表し方を考える。
次の入場者数は約何千人といえばいいでしょうか
ロアッソ熊本の試合における入場者数
湘南ベルマーレ戦 4687人
ヴァンフォーレ甲府戦 4182人
ギラヴァンツ北九州戦 4572人
数直線を基にして考えれば,どちらに近いか分かりやすいです。
百の位を見ても,どちらか分かります。
4500より大きいと5000になって,4500より小さいと4000になるね。

 
入場者数が,もし4500人だったら,約何千人といえばいいでしょう。
数直線だとちょうど真ん中だから,分からないな。
ちょうど真ん中だから,4000でも5000でもどっちでも良いんじゃないかな。
もし438だったら,4000と5000のどちらになるか,に数を入れて考えよう。
もしに3を入れたら,約4000といえるね。
もしが6だったら,約5000だよ。
〔0,1,2,3,4〕と〔5,6,7,8,9〕に分けると,5つずつに分けられて,ちょうど良いと思います。
ポイント
 4500を4000にするか5000にするかについて話し合わせる。数直線上ではちょうど真ん中に位置し,迷いが多い。そこで438のに入る数字を考えさせながら,百の位の数を見て判断した場合,0,1,2,3,4 を切り捨てること,5,6,7,8,9 を切り上げることに気付かせ,四捨五入の仕方について押さえる。
5 四捨五入についてまとめ,概数で表す練習をする。
概数にするときの仕方をまとめ,次の数を概数で表しましょう。
① 約何千といえるでしょう。(2275,3517)
② 約何万といえるでしょう。(83456,47935)
③ 約何万何千といえるでしょう。(83456,18546)
2275 は百の位を四捨五入して,約2000といえるね。
約何万と聞かれたら,千の位を四捨五入だね。
6 本時のまとめをする。 ポイント
 学習を振り返って,概数の意味や四捨五入の仕方を,できるだけ子どもの声でまとめられるようにする。

4 授業を終えて

(1) 導入段階において,学級の児童数などの正しく表す数と人口などのおよその数で表すものを同時に扱ったことで,概数で表した方が良いものがあることに気づくことができた。また,身近な事象で概数が用いられる場面を探させたことで,概数の意味や概数で表す良さが分かった。

(2) 数直線を用いると「どちらが近いか」が容易に分かり,概数を捉えやすかった。また,4500 を「約何千といえばいいか」と問うと迷いが出たので,438のに入る数を考えさせると,四捨五入の仕方に自ら気づくことができた。

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