ここでは,これまでの長さやかさの学習をもとに重さについて理解し,その普遍単位を知り,計器を用いて測定ができるようにすることをねらいとしている。
しかし,重さは長さやかさと違って,ものの見かけの大きさや形などからは大小比較がしにくい。そこで,手に持って重さを実感させ,比較や測定をさせながら重さの単位,測定の意味,計器を使った測定の仕方を理解させ,重さに対する豊かな感覚を育てていくことが大切である。
(1) 重さの量感がつかみやすく,重さの比較や測定ができる指導計画の工夫
教科書では,1gから導入されているが,軽くて重さの感覚がつかみにくいため,1kgから入る。また,重さの比較は,体重や食べ物の重さの測定で日常生活の中で既に計器に触れているため,直接比較から秤による測定へとすすむ。
1gの単位の導入はどこかで行う必要がある。
(2) 重さを比べてみたいという意欲をおこし,1kgの量感をつかむ教材の工夫
重さは,見かけの形や大きさではとらえられないことに気づかせるために,木,鉄,ちり紙を提示し,比較させる。材質の違いから,重さの予想がいろいろ出され,比べてみたいという意欲がわく。
1kgの単位と重さを知り,秤を使って1kg探しをしながら量感をつかむことができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | どれが一番重いか予想する。 |
重さは,見かけの大きさや形で決められないことに気づくよう,材質の違う「木」「鉄」「ちり紙」の3種類を提示するが,全部1kgにしておく。 |
2 | 比べ方を考え,話し合う。 |
各班に同じ物を準備し,重さを感じさせるためにそれぞれ手に持って比べさせる。3種類を何回も手に持って比べさせ,その後,重さの予想を再度し直させる。 |
3 | 秤の使い方を知り,それぞれの重さを量る。 |
秤を使った日常生活の経験から秤を提示する。秤の使い方は,教科書を活用し,操作と関連づけながら示す。
秤はできるだけ同じ秤で2kg秤を準備する。3つとも1kgをさしていることから,同じ重さであることをおさえる。詳しい目盛りのよみ方は次時に指導する。 |
4 | 重さの単位「1kg」を知り,量感をつかむ。 |
1kgの単位を知らせたら,それぞれ手に持ち,その重さを体で感じとらせる。 |
5 | 身の回りから1kgのものを探す。 |
すぐに秤にのせるのではなく,手に持って見当づけたり,1kgの重さと比べたりしながら探させる。 1kgぴったりの重さは教室内では,少ないので身の回りのものを教室内にそろえておく。 (辞書 ランドセル ねんど 砂糖 1リットルの水など) |
6 | 学習のまとめをする。 |
最後に,綿1kgを提示することで,重さは見た目だけでは判断しにくい量であることをさらに意識できる。 |
(1) 1kgから導入し,1kg探しをする活動を取り入れたことで,楽しく意欲的に1kgを見つけたり量ったりして1kgの量感を捉えることができたようである。
(2) 材質の異なる1kgを教材としたことで,多様に予想し,「比べたい」「はっきりさせたい」「測定したい」という意欲を引き出すことができ,重さについての理解ができたようである。