円については，観察，分類，構成，作図などの活動を通して，円周上のどの点も中心から等距離にあることがわかるようにすることがねらいである。
　しかし，他の図形と異なり円の構成要素である「中心・半径・直径」が見えないために，用語や性質へとつながりにくい。そこで，ここでは「よく回るこま作り」の活動を通して，自ら構成要素に気づき，円の用語や性質をとらえていくようにすることが大切である。

(1)　円の構成要素に自ら気づく教材の工夫

「こま回し大会をしよう」で興味関心がわき「よく回るこまのひみつは？」と問うことで，追究する意欲が出て自ら円の構成要素（中心・半径）に気づいていくことができる。

子どもたちに提示する４種類のこま

(2)　課題をもち追究しながらできた喜びを味わう算数的活動と学習過程の工夫

子どもたちの課題意識を高め，よく回るこまの「ひみつ」を考えたり，こまを作るために円を作図したりすることで，できた喜びが味わえる。

よく回るこまのひみつをみつける活動を通して，円の中心や半径を理解することができる。

学習活動		発問と子どもの反応・指導のポイント
1	よく回るこまを予想する。	Ｔ こま回し大会をします。どのこまがよく回るでしょう。 　こまは，実際に回してから，形や大きさ，厚さを考えて作っておく。 Ｃ アがよく回る。まんまるだから。 Ｃ イとウは，三角形や四角形で回らない。 　バランスが悪いから。 Ｃ エはまんまるだけど，しんが真ん中にないのであまり回らないと思う。 Ｔ 実際に回してみよう。 Ｃ アはよく回った。 Ｃ イ・ウ・エは予想通りだ。 Ｃ あまり回らない。 Ｃ ぐらぐらしてすぐに止まった。
2	よく回るこまのひみつを調べる。	Ｔ アのこまはどうしてよく回ったのでしょう。 　子どもたちが，自由に調べることができるように４つのこまの形を写し取ったワークシートを子どもたち一人一人に準備しておく。 子どもたちが使うワークシート Ｃ 形がまんまるだから。 Ｃ エは，しんから真ん中からずれているけれど，アは真ん中にさしてあるから。 Ｃ バランスがいいから。 　よく回るわけを考えさせるうちにアとエを比較していくと思うが違いを明確にすることで，中心や半径に気づかせる。
3	用語「円」「中心」「半径」を知る。	Ｔ よく回るこまのひみつをまとめましょう。 真ん中→中心 真ん中にあるということは，中心までの長さがどこも同じこの長さを→半径 まんまるな形→円 　よく回るこまのひみつをまとめることで正しい用語を知らせる。また円は円周上のどの点も中心から等距離にあることもおさえる。
4	円をかいてこまを作る。	Ｔ 円をかくには，どうしたらよいでしょう。 Ｔ 今日は厚紙をピンでとめる方法でやってみよう。 　円をかく方法を考えさせた上で，本時は工作用紙に穴をあけた紙とピンでかかせる。早くできた子どもには，いろいろな大きさの円をかかせることで円の中心と半径の関係に気づかせる。
5	できたこまを使って回す。	「よく回るこまを作ろう」という課題設定のもとに解決してきたため，できるだけ自分で作ったこまを回す場をとる。
6	学習をふりかえる。	学習のまとめでは，授業で分かったことや驚いたこと，もっと学習したいことなどを自分の言葉でまとめさせるようにする。

(1)　いろいろな形のこまを提示したことで，「おもしろそうだ」「どのこまがよく回るだろうか」とよく回るこまの予想をし，追究していくうちに円の中心や半径に気づいていった。

(2)　円をかきこまを作る活動をとおして，円の中心と半径の関係がわかり，円には半径が無数にあり，どれも長さが等しいことを自分たちで発見していくことができた。また，よく回るこまを作ることができたという喜びを味わうことができ，家に帰ってもっとよく回るこまを作ってみたいという声も聞かれた。