2年生では，身の回りにある箱の形をしたものを観察したり，構成したり，分解したりする活動を通して，頂点・辺・面という構成要素に着目させ，立体図形の特徴を捉えるようにすることがねらいである。

そのためには，初めから抽象化された形を与えるのでなく，具体的な事象の中から箱の形を取り出し，分類したり，写したり，比較したりする活動を通して，立体と平面の違いを知らせ，立体の特徴に気づかせることが大切である。

(1) 身の回りから箱の形を取り出してくる過程がわかる教材の工夫

身の回りの形はすべて立体であり，「さいころの形」や「箱の形」はその特別な形であることを知らせるため，身近で興味のある形を広用紙に添付して提示する。

(2) 立体と平面を区別し，自ら「面」に着目する活動の工夫

さいころの形と箱の形の特徴を「面」の形からとらえることができる。

学習活動		発問と子どもの反応・指導のポイント
1	身の回りの形から箱の形を取り出す。	Ｃ お菓子の箱がある。 Ｃ さいころみたいな箱だ。 Ｃ 袋がある。 Ｃ ボールもある。 Ｔ この中に箱の形がありますか。 Ｃ あります。クッキーの箱とさいころみたいな箱です。 箱という観点でさいころの形と箱の形を取り出させる。
2	さいころの形と箱の形をブラックボックスから取り出す。	Ｔ の中を見ないで，さいころの形を取り出してみよう。 Ｃ 四角の形だから… Ｃ あれー何かチクチクするのがある。これは，ダメ。 Ｃ すべすべしてないといけない。 Ｃ 正方形で，角があって…やった！ Ｔ 次は，箱の形を取り出してみよう。 Ｃ 長方形をした形を見つけたらいい。 Ｃ 長方形で膨らんでいるものだから…。 Ｃ 今度は簡単だった。 手で触って取り出すことで，立体と平面，平面と曲面の違いに気づかせ，面の形に着目させていくようにする。
3	さいころの形と箱の形を比べ，「面」の用語を知る。	Ｔ さいころの形と箱の形の違いを調べよう。 Ｔ ここの部分には「面」という名前がついています。 【図】 面の用語については，違いを見つける段階で必要に迫られてから指導する。また，一人一人に面を触らせて面としての広がりやいくつもあることをおさえる。   さいころの形 箱の形 面の形 正方形 長方形 面の数 6 6
4	さいころの形と箱の形の面を写す。	Ｔ さいころの形は面の形が正方形で6つといったけど本当かな。写して確かめてみよう。 面の数は同じ形のため，分かりにくい，数がはっきりしないという声を取り上げ，面写しの作業へと導く。 本来なら両方の形を写させたいが，時間の都合では分担して写させてもよい。
5	さいころの形と箱の形の特徴を言葉でまとめる。	特徴としては「面」という観点で2つの形の違いについてまとめさせる。頂点や辺についても出していくと考えられるがここでは取り扱わない。
6	練習とまとめをする。	Ｔ 次の形はどちらの形でしょう。 練習1（面写しをした形） 練習2 Ｃ ③は，はこの形です。それは，面の形が長方形だからです。 Ｃ でも正方形もあるから違うんじゃない？ Ｃ さいころの形はみんな正方形だけだから，さいころの形ではないし…。 Ｃ 「さいころの形」と「はこの形」の真ん中に置くといい。どっちの形も持っているから。 Ｔ どちらかに入れるとしたらどちらの仲間でしょう。 Ｃ 箱の形に似ているから，箱の形だ。 Ｃ そうだ。長いから。 Ｃ ①は正方形だけだけど，③は正方形と長方形がまじっているから。 正四角柱については，無理に取り扱う必要はないが，身の回りには多いので発展として考えさせるとよい。 学習のまとめは，子どもなりの言葉を大事にしていくが，「面」という観点でまとめさせるようにしたい。

(1)　導入では，身の回りのいろいろな形（平面図形，立体図形，材質や形状が異なる形）を取り扱ったので，形に親しみを持ち楽しく学習に取り組むことができた。

(2)　観察だけでなく，手で触って形を取り出す活動を取り入れたことで，立体と平面がはっきりと区別ができ，面の形や数に気づくことができた。

(3)　「面」写しの活動を取り入れたことで，面の形や数がよくわかり，面構成にも気づくことができた。