2年 1000までの数の大小比較

数の大小比較は,上の位の数から

1 指導のねらい

1000までの数の大小比較は,数の意味(よみ方,表し方,大小,順序)理解の一つの内容である。そこで,ここでは,数の範囲を3位数まで広げ,十進位取り記数法や数構成の考えを十分取り入れながら,数の大小比較をし,次第に上の位の数に着目させていくことが大切である。
 また,数の大小関係を不等号「<」「>」を用いて簡潔に表現できるようにすることもねらっている。

2 私のアイディア

(1)比べてみたいという意欲がわき,楽しく活動できるゲームの工夫

導入で班ごとの玉入れゲームをし,練習で学習の定着のためのゲームをする。

(2)数の大小判断がしやすい資料の工夫

ゲームの結果を示し,分かりやすいように構成が見えるようにする。

各自入った得点の場所にシールをはっていくことで,点数がわかり,さらに意欲的にゲームに取り組める。

位取り記数板に赤丸をおいていくことでより数の大きさがとらえやすい。

(3)上の位の数から比べていくことに気づく教材の工夫

2つの数の大小比較の練習段階で,一の位を隠したり,十の位を隠したりすることで,比べるときは,上の位に着目させることに気づかせる。

3 授業の実際

1 目標

1000までの数の大小比較ができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 「玉入れゲーム」をする。
ゲーム1
ルール
  • 班ごとに,1人1回玉入れをする。
  • 入った点数が得点となる。
  • 点数が多かった班が勝ちとなる
ポイント
班ごとに玉入れの紙(上図)を準備するが,円の大きさや玉入れをする距離は事前にやってみて,必要とする数が出やすいようにする。また,回数は人数によって増やすか,1000を超えないようにする。
2 ゲームの結果を見て比べる。
どのチームが勝ったでしょう。

ポイント
玉入れの結果が見えるように,同じ紙を黒板にはり,入った場所にシールを貼らせる。
Aチームが勝った。100点に多く入っているから。
Aは312。Bは123。・・・
ポイント
この段階で,大小比較はできると考えられるが,数構成や十進位取り記数法の考えで判断できるように,赤丸や位取り板を利用して数を表すようにする。
わかりやすく 数に置き換えてみましょう。

やっぱり,Aチームが一番だ。
百の位を見ただけでわかる。
3 数の大小を表す記号を知る。
AチームとBチームでは,どちらが大きいでしょう。
AチームがBチームより大きい。312と123では312が大きいから。
大きさ比べの時の記号があります。(<,>)

ポイント
不等号「<」「>」は,大小関係を簡潔に表せるものとして扱うようにする。不等号の意味を背比べで具体的に知らせる。
4 数の大きさ比べの練習をする。
(1)計算棒カードや数カードで大小比較の練習をする。
第1段階練習
①計算棒カードと計算棒カード

②計算棒カードと数カード

③数カードと数カード

  (2)位に着目して大小比較をする練習をする。 第2段階練習
①上の位から着目する

百の位から見たい。百が多いと大きいから。
② 百の位が同じなら,次の十の位に着目する。

百の位が同じなら,十の位から見たい。
③ 百や十の位が同じなら,一の位に着目する。

今度は一の位だ。
ポイント
単なる数だけの大小比較だけでなく,数構成を意識した大小比較をさせ,不等号の使い方に慣れさせる。また,練習を2段階に組み立て,位をかくしておくことで,上の位の数から着目していけばよいことに気づかせる。
5 まとめをする。 ポイント
子どもたちの言葉で学びをまとめさせることで定着を確実にさせる。

4 授業を終えて

(1) 大小比較では,比べてみたいという意欲をもたせることが何よりも大切である。そのために,グループで玉入れゲームをしたことで,夢中になってゲームにも取り組み,「どのチームが勝ったのか」と問わなくても,自分たちで比べていくことができた。

(2) ゲームの結果を,黒板に分かりやすく掲示することで,ゲームの途中でも大きさを比べながら,同じチームの友だちを応援する声が高まった。また,位取り板に置き換えることで,数の構成がどの子どもにもよく理解でき,数の理解も深められたようである。

(3) 1時間内にできるだけ多くの練習の場や時間を確保することが,学習内容の定着につながる。しかも,単なるドリルでなく,どんな力をつけるかを考えていく必要がある。ここでは,練習を2段階にして,大小の判断は,上の位に着目するように考えて提示したことで,上の位から順に比べるとよいことに子どもたち自ら気づくことができた。

(4) 不等号を早めに指導することで,練習の段階で,不等号を使って表すことに慣れさせることが大切である。

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