1年 5までのかず

5までの数を「数えたい!」「書きたい!」という意欲を大切にした数の導入

1 指導のねらい

この教材は,「いち」から「ご」までの具体物の集合や,それらと数図,数詞とを1対1に対応付けることを通して,数の意味について理解させることをねらっている。そのために,子どもが数えたいと思う教材や場を設定して,具体物や,半具体物などのものの個数を正しく数えたり,数字で表したりする活動を取り入れていくことが大切である。

2 私のアイディア

(1) 数の意味を理解させる工夫

絵,ブロック,具体物,数図カード,数字を対応付けて数の意味を具体的にとらえさせる。その際,具体物→数図→数字だけでなく,この3者を結びつけることで,抽象的な数の概念を育むことができる。

(2) 他の事象で数の見方を広げる工夫

1から5までの事象を含んだ楽しい絵や,自分たちの教室の中から,数の仲間を集めたり,数を数えたり書いたりする活動の場を設定する。

(3) 書く活動で数を知った喜びを味わわせる工夫

入学したての児童は,「書けた!」ということに,満足感を得ることが多い。そこで,1から5までの数を知った後,その数字を書く活動を取り入れる。児童に,「書けた!」「数がわかった」という喜びを味わわせることができる。

3 授業の実際

1 目標

5までの具体物,数図,数字を対応づけ,5を身の回りから探し出すことができる。

2 展開

学習活動 発問と子どもの反応・指導のポイント
1 教科書を見て,仲間をで囲む。
海の中だ。たこさんがいる。
かにさんもいるよ。
いろんな仲間がいるね。同じ生き物をで囲んでみましょう。
2 何匹いるか数え,同じ数図ブロックを線で結ぶ。
いるかさんは,何頭いたかな。
1頭です。
他のもわかります。たこさんは2匹です。
他の生き物の数も確かめてみましょう。
ポイント
線で囲んだ仲間の数を数えたり,ブロックを置いて数を確かめたりして,具体物と数図ブロックを対応させながら,1~5までの数を数えさせる。
3 黒板に貼ったカードを見て,数の仲間を探す。
ポイント
あらかじめ,ばらばらに貼り付けしておいた1から5までの絵カード(具体物,数図)を見せる。絵カードを見ながら自由に気づいたことを話し合わせる中で,数に着目させていく。

何があるでしょう。
ワーッ,いろいろある。自転車が5台。かえるが1匹。
のカードもある。
  (1) 3の仲間を集める。
3の仲間を集めてみましょう。
カンガルーが3匹います。
オットセイが3頭です。
ライオンが3頭います。
が3こです。
いろんな3が見つかったね。どれも「3」(さん)で表せます。
  (2) 他の数字の仲間を集める。
他にも仲間集めできるかな?
4の仲間もあります。犬とにんじんとが4つのカードが4の仲間です。
そうだね。これはみんな「4」(し)というよ。
ポイント
数の仲間集めをしながら,1~5までの数の読み方を確かめていく。
4 1~5までの数を書く。
1から5までの仲間が上手に集められたね。「いち」ってどう書くかわかるかな?
わかります!簡単。
みんなで書いてみましょう。
ポイント
1~5までの数の書き方を知らせ,数回ノートに書かせる。
5 絵の中から1から5までの数を探す。
あ,くまさんだ。
チューリップが3本あるよ。
ほかのも,数えられるよ。お魚が4匹。
数字でも書けるよ。小鳥さんは3匹いるから「3」と書きます。
ポイント
1から5までの数で構成された絵を提示し,絵の中から,数を探したり,書いたりさせることで,1から5までの数の理解を深める。
6 数える練習をする。

練習

いくつでしょう。

先生の言う数をおはじきでおきましょう。また,数字はどれですか。

7 教室の中で,5を探す。
教室の中で,5を探しましょう。
本棚が5段。
赤白帽子が5こ。
洗濯ばさみが5こ。
ぼくの名前は5文字だ。
5がたくさんあるよ。
ポイント
身近な場所から,自ら数を探し出すことで数の見方を広げるようにする。ここでは,数集めの条件や観点をはっきりさせて探させる。

4 授業を終えて

(1) 数の意味を理解させるための活動を取り入れたことで,子どもたちが主体的に数の仲間を見抜き,楽しく数える姿が見られた。

(2) 数の意味理解を図った後,数えたくなるような絵を提示したり,教室の中から数を見つけさせたりすることにより,数の見方を広げることができた。

(3) 子どもたちは,1から5までの数を書いたことで,「数を勉強した!」という学習の満足感を得ることができた。そして,次時に十分練習する時間を確保した。

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