第1学年では,立体図形の基礎となる経験を豊かにすることがねらいである。
そのためには,身の回りにある立体を観察したり,見付けたり,分類したり,作ったり,作った形から具体物を想像したりする活動を通して,ものの形を認めたり,特徴をとらえたりさせることが大切である。
また,「転がりやすい」「積み上げられる」という機能的な側面から,形の特徴をとらえることも大切である。
(1) 機能性や面の様子から形の特徴をとらえる指導過程の工夫
転がし競争をすることで,面の様子に着目し,自ら形の特徴もとらえられる。
(2) 立体図形に親しみと関心がもてるような算数的活動の工夫
子どもの興味のわくゲームを取り入れながら,図形を触ったり,観察したり,分類したりする活動をすることで,より形の特徴がとらえられる。
身近な立体について,観察したり,転がしたり,転がる音を聞いたり触ったりしながら,箱の形,筒の形,ボールの形が分かり形の特徴をとらえることができる。
学習活動 | 発問と子どもの反応・指導のポイント | |
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1 | 形を自由に観察する。 | 身の回りから集めた形
子どもたちが持ち寄った形の中から,「はこ」「さいころ」「ボール」「つつ」の形とグループの人数(3人程度)を考えて,選んでおく。ここで,材質,大小が異なる物も入れておく。 |
2 | 転がし競争をする。 |
ルール
班ごとに左のような場を設定し,転がし競争のルールを知らせておく。
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3 | 結果を出し合い,形の特徴をとらえ,「ボールの形」「つつの形」「箱の形」の用語を知る。 |
用語は,教師から一方的に教えるのでなく,特徴を表す言葉として,できるだけ子どもに考えさせる。 |
5 | 「形当てゲーム」をする。 |
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6 | まとめをする。 | 箱の中の形を音を聞いて想像させてから,形を当てさせたり,教師が示した形や言った形を取り出すようにさせる。 |
(1) 「転がし競争」の場を設定することで,子どもたちは「遠くまで転がしたい」という意欲をもち,その機能や面の様子に着目して立体を選ぶことができた。
活動の後で,「なぜか」と考えさせたり,教師のゆさぶりに答えたりすることで,形の特徴を自慢するところとしてとらえ,言葉でまとめることができた。
(2) また,後半の形当てクイズでは,音を聞くことでどんな形か想像したり,手の感触だけで平面や局面を感じ取ったりして,図形に対する感覚を豊かにするようにした。
これらの算数的活動を通して,子どもたちは楽しみながら,図形に親しみを持って学習することができた。
(3) 本時では「転がし競争」で導入したが,「積み上げ競争」をさせても形の機能的な側面に着目した仲間分けの学習ができる。