教師の方へ

授業実践記録(英語)

授業実践記録

神奈川県立平塚江南高等学校 武田 素行

今回,授業実践記録と言うことで,原稿の依頼がありました。今年は2年生を担当しますが,過去2年間は1年生の担当だったので,特に1年生の授業で最近行ったことをまとめてみたいと思います。私の勤務校,平塚江南高等学校は90年以上の歴史を持つ伝統校です。地区ではトップ校と呼ばれて久しく,難関国公立大学への進学を第1目標に生徒を激励しています。教員はまとまりがあり,学校全体でチームとして受験や行事に取り組んでいるという印象が強いです。私は2年前に転勤してきましたが,その団結力と,生徒の教員への信頼の高さに驚かされました。教員側が努力しただけ,生徒の力となっているのが強く感じられます。このような環境で授業ができるのを幸せに思っています。

●Vision Quest Ⅰを使った授業の1例

(私は基本的には授業での指示は英語で行います。その方が生徒は集中して指示を聞き取ります。あまり繰り返して指示は出しません。リズムを大切にしています。本校の授業は1時間が65分です。)

Lesson 11 比較級

1.Prepare your dictionary. Take a look at the blackboard. Shall we check this word today. 全員が紙の辞書を用意しています。黒板にはvesselと板書。生徒に意味を言わせる。「大きく3つの意味があります。出ていますか。」生徒は船舶,血管,容器という3つの意味を述べる。黒板には1= boat, ship 2 = vein. 3 = container 「このようにvesselは3つの意味を持っています。先日韓国の高校生達が乗った客船が転覆しましたね。あのような客船をpassenger boatと言いますが,vesselと言い換えることもできます。」That's all for this activity.

2.Then, prepare your text book, and open it to page 81. Today we will study 比較. Do you know the English word for 「比較する」? Anyone please? 生徒は手を挙げ,compareと答える。Compare is a verb(動詞).
Do you know the noun of this word? 生徒はcomparisonと答える。OK, thank you very much. So, we will study comparison today.

3.Take a look at the title of this lesson. The title is "I believe everything has a positive side". Does anyone know the opposite word of "positive"? 生徒は手を挙げ,negativeと答える。Yes, positive and negative are opposite each other.

4.Next, listen to Model Conversation. CDをかけます。

5.Then read Model conversation by yourself silently, and pick up questions in one or two minutes.

生徒からの質問

  • 4行目のdrop by halfの意味は
  • 6行目のdefinitelyの意味は
  • 同じ行のlabor shortageとtax shortfallsの意味は
  • 下から4行目のmore packedは
  • 下から2行目のI would say・・・は
  • 同じ行のfight for survivalの意味は

が実際に出た質問です。

  • drop by halfはOne hundred students were there at a school, but now there are only fifty students in the school. The number of students has dropped by half.と説明しました。
  • definitelyは=of course, in this caseと説明しました。
  • labor shortage, tax shortfallsは日本語や矢印を用いて説明しました。
  • more packedはIn this classroom there are forty students now. About fifty years ago, there were about fifty students in one classroom. When I was a students there were forty-five students in my homeroom class. The classroom was more packed than now.と説明しました。
  • I would say = I thinkと説明しました。
  • fight for survivalは生徒に質問し,「生存競争」という答えが出ました。

6.Then shall we do roll playing. First, Misaki's part, please. Next, Andy's part, please.

7.Next, shall we do Listening Task. 生徒が丸でT or Fを囲んだ後,私が答えを言います。

8.Then, Shall we do dictation. Listen to the three sentences, and write down them in your notebook. I will play the CD four or five times.ノートに書き取ったListening Taskの3文を生徒に言わせ,私が黒板に書き写す。その後Looking at the blackboard, listen again.

9.shall we move on to Pronunciation.

10.Let's move on to Function. ~kun / ~san, Please read number one.・・・というように読ませ,全体の意味を辞書を引かせたりして,説明する。

11.Let's go to the next page.というように,lesson 11の見出しのページの言語活動を行いました。続けて,Grammar 1に入ります。ここでは日本語で説明をしました。Grammar1での比較表現は中学校でやった内容の復習が主なので,13の例文をまずCDで聞かせるか,生徒に読ませるかして,まず全員が理解できているか確認します。その後いくつかのポイントを板書しました。あまり多くの説明をすると退屈になるので,ポイントを絞り,問題形式でノートに写させます。

  • as ~ asの~に入る品詞は   詞,   詞,   詞+   
  • 2倍,3倍,半分,3分の2~であるはas~asの前に~を置く。これも生徒に答えてもらいます。
  • not ~er than とnot as ~ asの違いを答えてもらいます。
  • less + 原級 than ~の説明をします。

この後,少し時間をとってExercises 1をやらせ,答え合わせをするという要領で65分を使いました。Exercisesは答え合わせまではいかないので終わらないところは宿題にします。

以上最近行ったEnglish Expression Ⅰの授業例でした。このようにEⅠの授業は文法中心でしたが,辞書活動,リスニング活動,リーディング活動など,できるだけ多方面の展開を心がけてやってみました。特に,今回のように,各レッスンの初めのページはいろいろな言語活動が組み込まれており,生徒達も楽しく授業に参加している様子です。2年生ではライティングが中心となりますが,ここでも多方面から言語活動ができるよう,工夫していきたいと思っています。また,英作文の力を伸ばすために,構文をしっかりと生徒には身につけてもらいたいと思い,それにかなりの時間をかけようかと同僚の教員と話しています。構文が身につけば作文だけではなく,読みの力もつくはずです。

● 次にCommunication English ⅠでのSummaryの作成について書きたいと思います。

教科書の本文がレッスンごとにパートに分かれていますが昨年はパートごとにサマリーを作成させてみました。白紙のプリントを配付し,やることを説明します。

1.This is a sheet of paper for making summary.

2.On the top of this paper, write "Summary of Part 1"and your name. Put some dots below. Five or six dots. From now read part 1 aloud for three minutes, and memorize the story. Then, close your textbook. I will write some key words on the blackboard. Using these key words, make a summary with five or six sentences. You don't have to use all the key words. OK? Do you understand? Shall we go. 生徒はBuzz Readingの要領で教科書を音読し,その後5~6文でサマリーを作成します。

3.Then, make groups of four or five students, and exchange your summary. Let's find good points of your friends' summary.

できたサマリーは回収し,朱を入れて,返却します。サマリーはつくりやすい文章とそうでないものがあるので,まずはつくりやすい文章から始めています。サマリー作成は英作文の力に1番影響力があると感じます。

Summary of Part 1

● 最後に2年生の授業で数年前に行ったサマリー作成について書こうと思います。

ある程度の長さの長文を読みます。その要約文を日本語で100語以内で書かせます。その日本語を英語に直させるというものです。日本語の要約が終わったら,私のところに持ってこさせ,OKなら英作文に取りかかることにしてみました。もともとの英文自体が少々2年生にとっては難しいものでしたが,生徒は頑張って取り組んでいました。国公立大の出題に対応するためにもよいトレーニングではないかと思います。

以上ここ2~3年で行った実践報告です。英語での指示を明確にしておけば生徒はそれにしたがって全力で取り組みます。そのためにも私自身,英語の学習により力を入れて取り組まなければならないと感じています。英語を媒介に様々なことを生徒と共に楽しく学びたいと思います。