同じ数を何回も加えることを同数累加といいます。例えば,4+4+4 は4の累加です。
抽象的にいえば,自然数倍は,同数累加に他なりません。しかし,実際的な意味からいうと,まったく同一のものではありません。例えば,兄は80円の鉛筆を,弟は80円のノートを,妹は80円の消しゴムを買ったとき,買い物全体の値段は,80+80+80(円)です。これは,80×3 として計算することができますが,事柄自体はたし算であって,かけ算ではありません。だから,同数累加すなわちかけ算と考えるのはよくないのです。
かけ算の指導では,上のように,「1だいに4人ずつ3だい分」と考え,4×3と式にかけることを理解させます。しかし,これは,かけ算の意味を理解させる上でのことであり,実際にその答えは,同数累加4+4+4で求めることになります。
このように,かけ算の意味とその結果の求め方とは区別して取り扱ってきており,その結果の求め方として,下のように同数累加を用いるのです。
特に,九九を構成していく段階では,同数累加を使うことが多くなります。仮に,九九の答えを忘れた場合でも,同数累加で九九をつくり出していくことができるようにしておくことが大切です。