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教師の的確な支援で子どもたちに「豊かな学び」を |
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徳島県徳島市立加茂名南小学校 榎本 久美 |
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生活科の学習は,子どもの思いや願いを大切に展開される。そのため,学習は多種多様なものとなり,教師にはその個々に対応したより的確な支援が求められる。したがって評価規準から個々の活動に即した具体的な子どもの姿を設定することが豊かな学びを生み出す活動において重要になる。
具体的な子どもの姿をイメージするには,指導要領の目標や内容を十分理解し,つけたい資質・能力を明確にもった上で,教材に対する教師の理解や児童の活動の様子を把握していくことが必要となる。それには教師の資質の向上が求められる。これまでに行ってきた自分自身の支援のありかたを問い直したい。
第1次 おきにいりのいきものをみつけよう(3時間)
第2次 いきものとともだちになろう(4時間)
第3次 おきにいりのいきものをしょうかいしよう(5時間)
小単元の評価規準 | 具体的な子どもの姿 | ||
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A児の活動 | 評価と支援 | ||
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飼育小屋やビオトープといった生き物がいると予想できるところだけでなく,プールという意外な場所を探してみたことにより,学校にいる生き物に対する関心が高まった。 |
小単元の評価規準 | 具体的な子どもの姿 | ||||
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A児の活動 | 評価と支援 | ||||
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インターネットで調べることにより求める資料を的確に探すことができた。また,アメンボをたくさん飼って,観察している人がいるということに驚き,自分の活動に自信をもつことにつながった。
実体顕微鏡を用意すると,観察したいという意欲が高まり,進んで細かいところを観察できた。 |
小単元の評価規準 | 具体的な子どもの姿 | ||||||
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A児の活動 | 評価と支援 | ||||||
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観察カードで一人一人の気付きを把握しておくことで,的確な声かけができた。足の形や長さに気付いているが,足の数には気付いていない児童には,足の数に気付いている児童に質問させるという支援を行うことができた。 |
具体的な子どもの姿を設定するためには,目の前の子どもたち一人一人に寄り添うことが大変重要だった。何に興味をもっているのか,どんなことに気付いているのか,どんな方法で表したいのかを行動や表情,会話やつぶやきからつかみとっていった。そこから次の時間の姿を設定し,どのような支援が必要なのかを考え,準備した。自ずと評価と支援が一体化していった。毎時間の観察カードへのコメントも,設定した具体的な子どもの姿に照らすと今まで書いていたものより子どもの気持ちに寄り添ったコメントになってきた。また,次の活動へとつなげたり広げたりできるものとなった。今まで何気なく行ってきた支援がより明確に的確になったと感じられる。
教師自身が支援を工夫改善していくことで,子どもたちの活動が豊かなものとなっていった。生き物と生き生きとかかわり,生き物の不思議さを感じ,命のあたたかさに触れることができた。そして,自分の気付きを工夫を凝らして表現する楽しさを味わった。
今後も自分自身の支援は適切かどうか見直しながら工夫し改善していきたい。