生活科の中で,子どもたちが必ず楽しいと感じる体験は,(1)あそぶこと (2)つくること (3)たべること である。このような体験からは,いろいろな価値ある行動が生まれる。その根底では,常に,個を理解し,個の思いをいかにかなえていくかということを考え,実践していくことが大切だと思う。
<実践1>
さつまいもの収穫…さつまいも料理…さつまいもパーティ
<作ってみたいさつまいも料理>
・ | 天ぷら・スイートポテト・ふかしいも・茶巾しぼり・いもようかん |
・ | いもきんとん・やきいも・大学いも・さつまいもチップ・さつまいもあめ |
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○ | 子どもに調べさせると,いろいろな料理法が出てくる。分類すると3種類に分けられた。
1, | 日頃食べたことがある料理 |
2, | 家の人(お母さん,おばあちゃん)に教えてもらった料理 |
3, | 本や雑誌で調べた料理 |
オレンジページなどの雑誌に,タイムリーな特集が組んであることがあり提案した。 |
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● | 天ぷらなど油を使う料理法は,危険を伴うし2年生には難しい料理法だと考え,簡単にできる料理法を選ぶように提案した。けれども,
『子どもの思いをかなえるのが,生活科の支援』 |
料理法発表時の子どもの言葉を振り返ってみると,2年生でもできる天ぷらのやり方を,おばあちゃんが知っているということが出てきた。試しに家で,つくってみた子もいた。
・ | 危険だ,難しいということでなく,このような料理法こそ,生活科として経験させていく価値があるものではないか。 |
・ | 見届けなどが難しかったらその子のおばあちゃん に来てもらうなど,人材を活用したい。 |
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○ | さつまいも=料理とは限らない。子どもの今までの生活経験から,
もっと多様な発想を認めよう。
工作的なものも出てきた。つくるだけではなく,みんなで食べ合いたいという発想は,どの子にもある。そういう中で,さつまいもで遊べる場として,このようなアイデアが出てくることは楽しい。
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・ | さつまいも機関車は,招待したペア学年の4年生に人気があった。 |
・ | 1年生を招待したいと,学年集会でさつまいも機関車を宣伝した。 |
・ | スタンプは,ただ押して遊ぶだけではなく,そのスタンプを使って,さつまいもパーティでスタンプラリーをしようというアイデアが出た。 |
「みんなで食べ合いたい。」という意識が,具体的になり広がっていった。
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個を見つめ,『子どもの思いをかなえる生活科』にするために。 |
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1, | 個々の実態をつかむ。 |
2, | 実態におけるその子の願う姿を出す。 |
3, | 教材,単元,本時について,予想される個々の姿を出す。 |
4, | ねらいを達成するための,個々への支援の手立てを考える。 |
5, | 個々の姿と支援のずれの原因を考える。 |
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○ | 座席表に,1時間1時間の子どもの表われや,つぶやきなど記録していくと,その時間毎に,個々の子どもの変容がわかる。適切な支援のタイミングをつかむのに,有効だった。 |
<実践2>
『コロコロおもちゃランド』… | 11月末の学校行事の祭りに向けて |
○ | 単元について…年間を通した計画を,子どもと作る。
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1学期… | 図工で「ユラユラ走る」おもちゃ作りキット
作って,遊んで,壊れて,直して…たっぷりおもちゃで楽しんだ。 |
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・ | 「1,2年の『なかよし元気集会』を6月は,雨が多いから,工作集会にしよう。」
年間を通した遊びの計画が,このような集会活動の話合いの中でできていく。 |
・ | 「『いっちゃんまつり』では,みんなが作ったおもちゃやゲームを集めて,『コロコロおもちゃランド』にして,いろいろなお客さんに来てもらおう。」 |
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○ | 子どもの関わりを,個→友達→クラス→1年生→学校:地域へと広げていく。
1, | 作りたいおもちゃのイメージをもつ。設計図を書き,材料などを集める。 |
2, | 作ってからの遊びのイメージをもつ。 |
3, | まず,自分のおもちゃ作り,遊びを十分に満足させる。 遊んでいくうちに,友達との関わり,おもちゃ,遊びの工夫に広がる。 |
4, | みんなの遊びの場を作る意識をもたせる。 |
1, | 自分が作ったおもちゃをみんなに知らせる。 |
2, | どのおもちゃで遊んでみたいか。 クラスの友達との関わりを持つ。 |
3, | 1年生を招待して遊ぼう。 自分のおもちゃ自慢。いっしょに楽しく遊ぶ。 |
4, | いっちゃん祭りにコロコロおもちゃランドを出そう。
・ | 学校や地域の人が楽しめるおもちゃランドに。 |
・ | 自分の役割を決め,会場作りをする。 |
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● | 動くおもちゃや釣りなどのゲーム的なおもちゃを作る子どもたちの中で,一人「携帯電話」を作っていた子がいた。この子の思いをかなえ,友達との関わりをもたせて十分遊んでいけるようにするには,「携帯電話」をどうみんなの遊びの中に位置づけるかが教師の支援になると考えた。教師も共に携帯電話を持ち,それぞれの遊びの場をつないで情報交換をする,ごっこ的な遊びに発展させていきたかった。 |
○ | 自分の作ったおもちゃを1年生に自慢したい。
1年生といっしょに遊ぶために,おもちゃランドを改善し,さらに楽しい遊び場を作っていこうという気持ちをもたせたい。
一人一人の子どもに,自信を持たせたい。
そこで1年生をおもちゃランドに招待するという設定にした。子どもの実態に合わせて,幼稚園の子,地域のおとしよりなどとの関わりを持たせることが,活動の充実感につながるようだ。
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<まとめ>
○ | 生活科の授業作りは,子どもの実態をつかみ,生活科のねらいに合わせて,一人一人の育てたい姿をイメージすることから始まる。座席表を使って,日々の授業を記録していくと子どもの姿が見えてくる。 |
○ | 子どもの思いを100%かなえる支援の手立てを考える。
子どもの思いを,生活科のねらいに迫らせたり,価値付けたりすることが教師の支援の在り方だと考えた。その際,その子の思いをいかに認めて,満足のいく活動に結びつけるかが大切だと思う。 |
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