3年
操作的算数的活動を通し,            
『わかった・できた』を実感できるかさしらべの学習            

長野県 小学校
1.はじめに(指導の要約)

 2つの入れ物を比べる場合,規準となる入れ物の必要性を感じない児童が多いと考える。そのため,まず,6つの容器のかさの大きさを比べる学習を通し,規準となるますの必要性を追究してみた。さらに,1リットルますや1デシリットルますを使い,いろいろな容器のかさをはかることで,リットルやデシリットルの量を実際に体得できるようにした。

2.児童の実態

 クラス替えがあり,4月から3年2組の担任になった。元気が良いが,授業では,自分の意見をしっかり発言できる児童とそうでない児童がはっきりしている。算数が苦手というのではないが,自分の考えに自信がもてない子どもも多い。また,理由を説明することを苦手としている児童が多く「なんとなくそう思う」でごまかしてしまう姿が見られる。

 操作的算数的活動をできるだけたくさん取り入れていくことで,算数的活動を通した中から自分の意見に自信を持ち,理由もしっかり発言できる子どもの姿を願っている。

3.教材観(単元のねらいと系統性)

 本単元では,いくつかの容器のかさを実際はかることで,1リットルや1デシリットル,さらには1ミリリットルという量を感覚的に理解することがねらいのひとつになっている。

 しかし,今までの授業では,2つの入れ物(水筒)の大きさ比べを導入として扱ってきたが,直接2つの容器のかさを比べることができるため,比べる容器が2つだけでは,一つの規準となる入れ物の必要性が薄れてしまった。そのため,今回はまず,6つのいろいろの形の容器を用意し,かさの順番を調べる方法を考えた。そして,同じ大きさの紙コップを使うことで,規準となるかさの必要性を理解させていった。さらに,いろいろな容器のかさを測定する学習を通し,リットルやデシリットルの大きさを身近に感じることができるようにしていった。

4.算数的活動の工夫(指導のポイント)

 第1時 「6つの容器に水を入れた時,水の多く入る順番を考える」

 T: どうすれば順番がわかるかな。

 C: 水を入れる。

 C: 土を入れる。

 C: 土を入れてどうやって調べるの。

 C: 土をいっぱいに入れて,何秒で全部なくなるか調べる。

 T: ここに土がないからこまったね。

 C: 重さをはかる。

 C: ペットボトルのようなものではかる。

 T: 今,ここに,量りやペットボトルはないけどどうする・・・

 C: コップで水が何ばい入るか数えればいいと思う。

 T: そのコップってどこにある?

 C: あそこ(といって,あらかじめ用意しておいた先生の机の上に置いてある紙コップを指差す)

 T: これを使えばうまくいきそうかな。

 C: できる。

 T: じゃあ,まずはかる前に,この紙コップで何ばい入るか予想をしてから調べてみよう。

  

 Mさんの予想と実際から
番 号 1 2 3 4 5 6
予 想 26 12 36 26
実 際 35 27 12 42 18
順 位

 子どもたちの感想から

 ・5は42はいも入るとは思いませんでした。また,やりたいです。

 ・こんなに予想とちがうとは思いませんでした。でもちょっぴり当っていたのもあってよかった。もっとやりたいです。

 ・比べかたがわかってよかった。順位は当っていたけど,何ばい入るかは当らなかった。

 ・じっさいにはかってみたら,いがいにも多くびっくりした。楽しかった。

 ・5が42はいも入るなんてびっくりした。また,いろいろなものでやってみたい。

 この授業を終えて

 ほとんどの児童が楽しかった。また,いろいろなものをはかってみたい。と学習プリントに書いていた。また,同じ大きさのコップを使えば,入る水のかさを比べることができることを理解できたと思う。

 第2時 「1リットルますを使って,6つの容器のかさを調べる」

 第2時では,1リットルますの必要性を子どもたちと考えた後,実際に前時使った容器のかさをはかってみた。はしたをはかる必要性から,規準となるもっと小さいますが必要になることがわかった。

 第3時 「1デシリットルますを使って,8つの容器のかさを調べる」


 T: 今日はこんなちいさな入れ物を8つも用意しました。どのくらいの水が入るかそれぞれ調べてみたいと思います。

 C: 算数セットに入っている容器だ。

 C: 三角のはペットボトルロケットのさきだ。

 C: スプレーのふたもあるぞ。

 C: 小さくて,1リットルますじゃだめだよ。こぼれちゃう。

 C: もっと,小さなものを使えばいい。

 T: そう,これをみて。これは,1デシリットルますです。これで10杯入れると,1リットルますがいっぱいになります。今日はこれを使って調べてみよう。

 C: 白いのが一番入るな。

 C: 三角のどのくらい入るかな。

 C: 先生全部はかるの。

 T: じゃあ,じっさいに何デシリットル入るか全部調べてみましょう。
 調べる前に,かならず予想を書いてください。さて,どのくらい入るかな。

 T君の予想と実際から
番 号 1 2 3 4 5 6 7 8
予 想
実 際 1と半分 1と半分

  

 子どもたちの感想から

  ・楽しかった。今度はもっと物をふやしてはかりたいです。

  ・すごく楽しかった。もっといろいろやりたいです。

 この授業を終えて

 学習プリントの自己評価欄における「1デシリットルますを使っていろいろな入れ物のかさをはかることができましたか。」の評価では,ほとんどの子どもが はい に○をしていた。

5.指導の成果と今後の課題

 この単元を終えた時の,子どもたちの感想をみるとつぎのようなものが多かった。

 ・いろいろな物に水を入れてかさをはかれたことが楽しかった。

 ・ペットボトルロケットのさきをはかる時,いっぱい入ると思ったらあまり入らなかった。

 ・リットルますやデシリットルますを使っていろいろはかれて楽しかった。

 ・一番楽しかったことは,予想(何リットル入るか)を当てた時です。

 ・予想を書いて全部はずれたけど,楽しかったです。

 など,実際予想をたてて,いろいろな容器のかさをはかったことで,とてもたのしい授業になっていった。やはり,楽しい算数の授業を子どもたちと作り上げていくためには,具体的な算数的活動を多く取り入れた授業を仕組んでいくことが大切であると改めて感じた。

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