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既習事項を大切にした三角形の面積の指導 〜第一時から三時まで、導入場面の数値をそろえた展開〜 | |
港区教育研究会算数部(東京都港区立青山小学校 高橋 丈夫) |
1.はじめに 啓林館の教科書では,この単元の学習は,直角三角形を長方形の半分とみて,求積するところから始まる。次に,直角三角形を背中合わせに2つ合わせたものとして,鋭角三角形の面積を学習する。最後に,大きな直角三角形から小さな直角三角形を引いたものとして鈍角三角形の面積を学習し,三角形の面積の学習を終える。 この展開の難しいところは,鈍角三角形の扱いである。具体的には,以下の点が,子どもたちにとって難しい。
2.工 夫 そこで本実践では,次のような工夫をした。
3.授業の実際
4.考 察 教具の工夫により,子どもたちは鈍角三角形という三角形を容易に意識することができたようである。
最後に数値を固定したことにより,「あれ,先生面積が全部一緒だよ。なぜだろう?」とか「全部12だ。なぜだろう?」などの発言が生まれた。このことによって,三角形の面積は底辺と高さできまる,ということの理解が深まり,鈍角三角形も底辺と高ささえわかっていれば,面積を求められることの理解を深めるよい機会をえることができたと思われる。 5.おわりに 子どもたちは,『既習の図形に直せないか?』,『直角三角形を利用できないか?』,『本当に公式を使っていいのか?』といったことを考えながら,集中し,時には額にシワを寄せながら課題の追求を進めていった。その様子は下のような学習感想からも知ることができる。
「高さ」の認識が「日常的な高さ」から「算数的な高さ」に変わるということは,とても難しいということを,再認識した。事後調査からも,「『高さ』は三角形の『底辺』とくっついているものである」と答えた子どもが2人ほどいた。29名中の2名,割合に直せば7%弱だが,「高さ」に対してのおさえが弱かったように思われる。高さに対する認識を高めることが,今後の課題である。 最後になったが,港区の先生方他,一緒に研究を進めて下さった先生方,本当にお世話になりました。ありがとうございました。 〈参考文献〉
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