(1) | 算数的活動の工夫 〜作図を通して体験的な理解を図る〜
数量関係の指導が単に式や表の考察にならないように,ここでは基本図形を与え,面積を2倍,3倍…にする方法を考えるという算数的活動を通して,面積が高さや底辺の長さに依存していることを体験的に理解させる。
児童は,方眼紙やパソコンを使って作図をしたりジオボードや具体物で操作をしたりして試行錯誤する中で,「面積が増えれば底辺の長さや高さも増えること」(依存関係)や「底辺の長さと高さのどちらかを規則的に変えていけば簡単に作れるということ」などを自分で発見していくことができると考えた。
【本時の算数的活動のよさ】
・ | 数の関係や図形を多様に考察する力を活用できる。 |
・ | 関数的な見方・考え方を養うことができる。 |
・ | 面積の量感や実感をともなったより深い公式の理解となる。 |
・ | 公式が数量の関係を簡潔に表しているという見方にふれる。 |
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(2) | 少人数指導の工夫 〜習熟度を考慮した課題選択コース〜
「関数的な見方」は様々な問題解決において重要な働きをするものであるが,その指導は難しく児童の個人差も大きい。そこで,依存関係を調べる図形を児童に選択させることで習熟度を考慮した少人数のコースに分け,よりきめ細かな支援を行っていった。
平行四辺形コース (基礎・基本を確実に) |
2倍,3倍の図形を基本図形の2つ分,3つ分と表すことが可能で,視覚的にも量的にも依存関係や比例関係がとらえやすい。 |
三角形コース (発展的内容を含む) |
直観的な理解は難しいが,三角形の求積公式などこれまでの学習内容を活用することで対応や変化の特徴を発見することができる。 |
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(3) | 目 標 (三角形コース)
面積が2倍,3倍…になる三角形を考察していくことで,三角形の面積が底辺の長さ や高さに依存していることが分かり,その変わり方の特徴をとらえることができる。
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(4) | 授業の実際(三角形コース)
面積が2倍,3倍…になる三角形を考察していくことで,三角形の面積が底辺の長さ や高さに依存していることが分かり,その変わり方の特徴をとらえることができる。
【児童の表現方法】
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児童の個性や認知スタイル,理解力などの実態に応じて,問題解決に必要なものを選択させる。 パソコンは「さんすうランチ ボックス」の作図ソフトを使用。 |
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【教師の主な支援・援助活動】
○ | 底辺の長さと高さの両方を2倍,3倍している児童 |
○ | 両方を規則的に増やす児童
(1) | 面積の計算をすることで間違いに気付かせる。 |
(2) | 式に表すことでなぜ4倍なのかに気付く。
2倍 |
4× |
3÷2= |
6 |
4倍 |
↓ |
↓2倍 |
↓ |
8× |
6÷2=2 |
4 |
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○ | 底辺か高さの一方を固定することに気付かない児童
(3) | 前時までに学習した「面積が等しい三角形」のかき方の工夫を参考にするよう助言する。(右の図)
(2)の式に表すことで片方だけ2倍すればよいことに気付く。 |
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○ | 「底辺×高さ」の数の組み合わせを考える児童
考え方としては認めていく。6p2の2倍は12p2
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底辺(p) | 4 | 4 | 4 | 4 |
高さ(p) | 3 | 6 | 9 | 12 |
面積(p2) | 6 | 12 | 18 | 24 |
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○ | 一方だけを2倍,3倍して作図ができている児童
見つけた工夫を表に表して,きまりを考察するように助言する。 |
○ | まったく見通しが立たない児童
→ | ジオボードで試行錯誤させる。「面積が等しい三角形」の掲示物を参考にさせる。 |
→ | 面積が2倍,3倍の三角形を書いたワークシートを与え,底辺の長さと高さを測ることで,どこが変化しているか調べさせる。 |
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※ | <平行四辺形コース>も主な学習活動は同じである。ただ,習熟度を加味したコースなので,児童の実態に応じて具体物を並べたり長方形に置き換えて考えさせたりするなどの支援の工夫を行った。 |
<発表にデジカメを活用> |
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