3〜5年
子どもが生き生きと活動する図形学習の工夫      
〜コンピューターで三角形を敷き詰めよう〜          
東大阪市立弥刀東小学校
深水 梨名
1.はじめに

 算数の学習といえば,ドリルで繰り返し練習するといったことが多い中で,子どもに楽しく算数を学んでほしい,と思った。子どもたちが,友達とコミュニケーションをとりながら,夢中で活動する。一人ひとりの考えを合わしてみると,そこで大きな発見をする事ができる。そんな教材を開発したいと考えた。

2.コンピューターを活用する事の意義

 児童は,コンピューターを活用した学習が大好きである。他の授業では自分の意見を出しにくい児童も,積極的に活動している。また,コンピューターに対してわからない事や難しい操作があっても,不安がったりしない様子で,友達に聞いたり,教えあったりしている。また,国語や図工でもコンピューターを活用してきたが,できた作品を見せ合ったり,感想を言い合ったりして,コンピューターが,「児童対児童」のコミュニケーションをとる媒体に自然になっている。

 算数でコンピューターを活用する事は,特に図形学習をする時には,非常に有効であると考える。なぜなら,ノートに図形を書く事が苦手な児童も,コンピューターは自分が考えたとおりの図形を書きやすいため,図形を書く喜びを知る事ができるからである。

 また,インターネットでの算数科のコンテンツの活用も試みた。
 1つは,「算数絵本」である。
 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/1425/japanese_works.html

 これは,アニメーションを楽しみながら形についての概念形成がはかれるデジタル絵本である。

 もう一つは「学習君」である。
 http://www.g-netschool.com/title.html

 これは,各学年の算数科の学習に使えるフリーソフトである。
 どちらも,子どもたちには好評で,2人組で声を合わせて読んだり,協力して答えを考えたりする場面が見られた。

3.敷き詰めについて

 「敷き詰め」る活動は,児童一人ひとりが自分の能力に応じて,具体的な操作ができる活動である。このような学習は,より新しいものを作り出そう,見つけていこうとする意欲につながり,図形学習がより生き生きとしたものになる。

 この「敷き詰め」の活動が今回の学習指導要領の改訂で,指導内容が大幅に削減されたのにも関わらず,敷き詰めは,「内容の取り扱い」から図形領域の「内容」として明確に示されるとともに,第3・4・5学年と3つの学年で指導するように変化した。その意図とは,算数的活動の重視の意味合いから,合同な図形を敷き詰めるという活動を通して平面図形の基本的な性質を楽しく理解するところにある。また,各学年での学習内容が,次学年以後での図形学習の素地となる内容を含んでいる。たとえば,本単元では,第4学年以上で学習する,三角形の内角の和が180度となる事や,三角形2枚で四角形が構成される事から四角形の面積は三角形から導きだされる事である。

4.指導の実際

 第1次 エデュテイメントメニューをしよう。

    児童の算数科への抵抗,構えをなくすため,「さんすうランチボックス」のエデュテイメントメニューを取り上げた。児童は,2人組で考えあったり交替で操作をしたりする事も自然にできるようになった。

 第2次 インターネットで絵本を見たり,もよう作りをしたりしよう。

    「算数絵本」を見た後,「さんすうランチボックス」でもよう作りをした。どの図形を何回でも使ってよいことにした。作品を掲示板にはりつけて,スクリーンに映すと,工夫している友達の作品には「おーっ!」の歓声があがった。この時は,図形同士を重ねて形を作っている児童もいた。

 第3次 敷き詰めをしよう。(本時)



    子どもたちは,自分で作った三角形でつくった「敷き詰め」のもよう作りを楽しそうにしている様子である。2人組で子どもたちのもよう作りをしている様子に次のような種類があった。

三角形を交替で敷き詰め,どちらかが敷き詰められなくなるまで競争しているペア。


1人が敷き詰め,もう1人がいっしょに考えながらもよう作りをするペア。


ある程度1人が敷き詰めたら交替するペア。  など

 第4次 インターネットを活用して復習しよう

    「学習君」をした。正解するまで次の問題に進めないので2人組でコンピューターの画面を指でさしながら考え合っていた。

5.成果と課題

  <成果>  
単元を通して2人組でのコミュニケーションがコンピューターを活用する事で「こうしたらいいんちゃう?」や「どんなん作ろうか?」という声かけからわかるように意欲的にできた。


情報教育指導助手とのT.Tであったため,児童への支援がスムーズであった。


1ペア1ペア異なる三角形でもよう作りをしたため,他のペアの作品鑑賞にも「他のペアはどんなん作ったんかな?」とわくわくしながらできた。また,工夫しているところ,気づいた点を言い合うことができた。

  <課題>  

もう少し,時間があれば,作品の一つ一つの三角形についてもじっくり見る事ができたのではないか。


児童が,友達の作品の「色」の工夫については多く発見していたが,「三角形」についての気づきが少なかった。この点は発問の改善が必要である。

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