1より大きい整数のうち,1とその数自身以外に約数をもたない数を素数といいます。見方を変えれば,素数とは「約数の数がちょうど2つの数」ということになります。1は素数には入れません。
また,素数でない整数(1とその数自身以外に約数をもつ数)を合成数といいます。
ギリシア時代以来,変わることのない素数判定法にエラトステネスのふるいがあります。これは次のような手続きで,2以上の整数nまでのを見つける方法です。
一方,約数のことを因数ともいい,因数が素数になっているものを素因数といいます。
合成数は,素因数に分解することができ,それを素因数分解といいます。例えば,
84=2×2×3×7 (22×3×7)
180=2×2×3×3×5 (22×32×5)
素因数分解は,右のようにその数を素数で次々にわっていけばできますが,各因数の順序を考慮に入れなければすべて一意に表すことができます。
素因数分解することによって,その数の約数や最小公倍数,最大公約数を求めることができます。
例えば,84の約数は,1,2,3,7,22,2×3,2×7,3×7,22×3,22×7,2×3×7,22×3×7 であり,84と180の最大公約数は22×3,最小公倍数は22×32×5×7です。
しかし,小学校では,約数や倍数を分数の計算に用いることに主眼がおかれるので,素因数分解に基づく形式的な処理による約数の見つけ方や最大公約数,最小公倍数の見つけ方は学習しないことになっています。