1.子どもたちは実験が大好き。
興味を持って実験すれば,しっかり見ることができて,よくわかります。子どもたちは実験が大好きです。
以前とったアンケート(私のクラス)で,理科の実験が好きまたは大好き:24名(77%)が,理科の学習が好きまたは大好き:21名(68%)を上まわっています。
「可能な限り実験や観察を多く取り入れて,追及する能力を身につけさせたい。」
「実験をたくさんしたいけれど,準備が大変」「できるかな?」
そこで,実験を中心にして,子どもたちがわくわく興味を持って実験ができるよう,スムーズにうまく実験ができよう,工夫やコツなど,7つの提言をします。
2.たくさんの実験を能率よくするための7つの提言
(1)子どもたちを使いましょう。実験の用意は,セルフ方式で。
- 取っていく用のかごを用意し,子どもたちで用意をさせましょう。(かごが少ない場合は,100円ショップなどで手に入ります。本校に出入りの業者に,頼むと105円で調達してくれました。)
- 児童も慣れると,手分けして(1人は前から薬品を,もう1人は後ろの棚からビーカーと試験管立てを,別の1人は横の棚からガスコンロを)用意できるため,必要なものがスムーズに用意できます。
- 実験器具は,かごで取ってこさせ,使い終わったらまたかごに入れさせましょう。
- 実験道具をすべて持って行かすのではなく,必要なものを順に持っていかせ,終われば順に戻させましょう。
(2)教師の準備は,薬品など必要最小限に。
- たくさんの実験をするためには,教師の準備が大変だと長続きしません。
(3)保管場所は理科室に。
- 薬品や高価なものは,準備室。それ以外は,理科室に保管しましょう。
- 小物関係は,教師用実験台の引き出しにしまっておき,引き出しごと出しましょう。
→セルフ方式で,取っていってくれるし,目も届きます。
(4)実験は3・4人グルー
プで行いましょう。
- 理科室の実験机は,4人グループでも十分可能です。それを3人で使うと,ゆとりが生まれ,落ち着いて取り組めます。
- 少人数で行うほうが主体的に取り組め,理解が深まります。ただし,2人だとどうしたらいいかわからないとき,困ってしまうことがあります。『3人よれば文殊の知恵』とのたとえもありますが,他の班を見たりして,何とかやって行けるようです。
(5)用意するとき気をつけること。
- 教師は教室全体の動きを見ておきましょう。
- 独自のワークシートを用意しましょう。
(子どもたちはそれを見ながら用意をし,実験ができます。)
- 実験する前に教科書などは実験机の下の棚に片付けましょう。
- 実験器具は,実験机の端に置かないで3人の真ん中に置き行いましょう。
(6)使い終わった薬品は,個別の容器に回収しましょう。
- ペットボトルにシールを貼って,薬品ごとに回収しましょう。
- そうする事によって,後で再利用が可能です。
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酸を中和して捨てる時,使い終わった石灰水が役立ちます。 |
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石灰水を用いた時の集気瓶などの汚れは,使い終わった塩酸で洗うとすぐ落ちます。 |
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5年で使った食塩水。→6年で役立ちます。 |
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ミョウバンの飽和溶液。→来年度も使えます。 先日の実験の続きができます。 |
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(7)ビーカーなどの洗い物は,その都度,子どもを使って行いましょう。
- 油汚れの時は,洗剤が必要ですが,ほとんどの場合は,水洗いで十分です。
- スポンジを蛇口の数,用意しましょう。
(みんなでやれば早く済みます。)
- 後で洗おうと思うと時間が取れなかったり,こびりついて取れにくかったりします。
- 洗い終わったビーカーなどは,カートに入れて,乾かしましょう。
(いちいち拭くのは大変です。)
3.私の実践例1【水溶液の仲間わけ(酸性・アルカリ性)】溶液交換方式
【ワークシート1】
【実験の仕方とコツ1】
★溶液は1つずつ渡す。
1つの実験が終われば溶液を返却し,次の実験のために次の溶液を持っていく。 待っている間に,ほかの子は,ガラス棒を洗ったり,結果を記入したりする。 |
- ガラス棒は,薬品が混ざらないように,ビーカーに汲んだ水道水で洗う。
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水道水からはじめる。水にぬれただけで,少し色が変わる。これを基準にし,『変化なし(中性)』と考える。(水道水の場合,若干アルカリ性の場合が多い。) |
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青色に変わる水酸化ナトリウム水溶液で実験する。最初のほうが,説明どおりに実験できる。水酸化ナトリウム水溶液は,危険な薬品である。 |
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赤色に変わる塩酸で実験する。水酸化ナトリウム水溶液を洗わずに使用した場合でも,塩酸と反応して食塩ができるだけである。(水酸化ナトリウムは後に残らない。) |
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この後で,中性の食塩水を実験すると,『変化がない』との解答が得られやすい。 |
- ホウ酸の水溶液は,5年生の時の『もののとけ方』の実験でできた保存していた溶液を用いる。
4.私の実践例2【身近な水溶液の仲間わけ】班移動方式
【ワークシート2】
【準備物:クラス全体で】
100mlビーカー:30個 身近な水溶液:30種類をそれぞれ10mlほど ガラス棒:30本 赤色リトマス紙:30枚×班の数(実際はたくさん) 青色リトマス紙:30枚×班の数(実際はたくさん) ピンセット:30本 ゴミいれ(袋):班の数 |
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【実験の仕方とコツ2】
- リトマス紙がたくさん必要になるので,3等分しておく(3つに切る)。
(青や赤の表紙ごと入れておくと,青と赤が見分けやすい。)
- 濃い色の水溶液(醤油やコーヒーなど)は,リトマス紙の色の変化がわかるように水道水で薄める。)
- ガラス棒は,水溶液が混ざらないよう,その水溶液専用とする。
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水溶液を移動させずに,そのテーブル(場所)に固定し,自分たちがグループで移動する。 |
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空いているテーブル(水溶液)のところに行って,どんどん実験する。 |
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結果はそのつど記録し,使用したリトマス紙は,各班のゴミ入れ(袋)に捨てる。 (そのまま残しておくと,次の班は,結果がわかって面白くない。) |
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微妙な結果のものは,班で協議し,そのつど結論を出す。 (後で考えるなんてことは無理である。) |
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- 時間を決めて実施する。時間が足りなくて,すべての溶液が実験できなくてもよい。
【まとめの仕方】
- 酸性・中性・アルカリ性に分けて考える。
- よくわからないもの,意見が分かれるものは,別にどけておくと,考えやすくなる。
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