5〜6年
自然に親しみ,科学的な見方や考え方ができる子どもの育成
広島県江田島市立大古小学校
織田 晴美
1.はじめに

   本校では,科学的な見方や考え方ができる子どもを目指して,理科の授業の充実を図るとともに科学研究に取り組んでいる。自然に触れ,探究する楽しさを味わうとともに,研究する厳しさも感じている。

 ここでは,科学研究の取組みの一端を紹介したい。

2.総合的な学習の時間における「科学研究」の実践

(1) 単元
 
  第5学年 「海辺の生き物科学研究」 ( グループ研究 )
  第6学年 「海辺の生き物科学研究」 ( 個人研究 )
   
(2) 単元のねらい
 
 
身近な自然とかかわることにより,問題を見出し,追究していく。
疑問をもち,解決する方法を考え,観察・実験を通して解決できる。
科学作品としてまとめることができる。
   
(3) 授業の実際
 
 
第1次 海辺の生き物の不思議を集めよう(4時間)
第1次 海辺の生き物の不思議を集めよう(4時間)
第2次 海辺の生き物のなぜ?どうして?(30時間)
第2次 海辺の生き物のなぜ?どうして?(30時間)
第3次 科学研究発表しよう!(10時間)
第3次 科学研究発表しよう!(10時間)
   
(4) 成果
 
  広島県科学賞特選受賞 第6学年「貝がらにあいた穴のなぞ」
        ( 全国児童才能開発コンテスト 日本PTA全国協議会会長賞受賞 )
 
       準特選受賞 第5学年「島戸川河口にすむカニたちのひみつ」
       努力賞受賞 第5学年・・・・2点,第6学年・・・・2点

3.科学研究の実際(「貝がらにあいた穴のなぞ」を例に)

研究テーマの設定
1 問題を発見する    
 
海辺に出かけて貝がらを集めよう。
身近な自然に触れる
あれ?穴のあいた貝がらがあるよ。
同じような円い形をしているよ。
どうして,貝がらに同じような穴があいているのか不思議だった。
 
 
   
2 問題を把握する   気付くような活動を仕組む
  穴のあいた貝がらを並べてみよう。  
 
穴のあいた貝がらを並べてみると,どれも貝がらの上の方にあいていることに気付いた。そこで,どうして穴があいたのか,また,なぜ貝がらの上の方に穴があいているのか調べることにした。
研究計画の立案
研究1 なぜ貝がらに同じような穴があいているのか
    (1) 穴の特徴 (2) なぜ穴があいているのか
 
 
 
研究2 貝がらにあいた穴の位置
     
研究3 穴のあいた位置と貝がらの厚さの関係
研究の実施 データの信頼性を高める
島戸川河口干潟で拾った穴のあいた二枚貝の貝がら100個について調べる。
研究1-(1)
調べる対象を明らかにする
貝がらの直径と数
1 データを集める
 
穴の形や大きさ
貝がらの左右どちらに穴があいているか
 
 
2 データを整理する
  穴の大きさ ( 右グラフ )
貝がらの左右どちらに穴があいているか(省略)
   
3 データを考察する
穴は,同じような形や大きさをしていて1個の貝がらに1つあいているので,何かが目的をもってあけていると考えられる。
研究1-(2) (省略)
研究2  
かく頂から穴までの長さの割合と貝がらの数
 
1 データを集める  
 
かく頂から穴までの長さを測る。
かく頂から穴を通ってはしまでの長さも測る。
 
 
 
 
2 データを整理する ( 右グラフ )  
 
貝がらの大きさがちがうので割合で表す
3 データを考察する  
 
穴は,かく頂から 10 〜 30 % の位置に多く・・ ( 省略 ) ・・かく頂に近い部分に穴を開けやすいのではないかと考えた。
関係や原因の推論する
研究3

貝がらの厚さ
1 データを集める
 
穴のあいた貝がらの厚さを3カ所測る。
貝がらは曲がっているので,切ってから測る。
 
 
2 データを整理する ( 右グラフ )
 
分かりやすいグラフにして表す
3 データを考察する(省略)
研究のまとめ
 
1 研究レポートを作成する   研究レポートの項目
  データや事実に基づいて正確に記述する
 
 
 
2 研究成果を発表する  
  聞き手にわかりやすい発表資料を作成する 筋道を立てて話す


4.おわりに

 これからも,自然の不思議さに触れ,探究する取組みを続けていきたい。

前へ 次へ


閉じる