5年
もののとけ方 ☆ 星が生まれる!ふり積もる!?☆  
高砂市立阿弥陀小学校
高田 昌慶

1.はじめに

 ミョウバンを溶かした温水が冷えていくと,溶けきれなくなったミョウバンが結晶として再び姿を現すという実験が出てきます。その発展として,大きな結晶づくりが紹介されていましたが,誰でも簡単にできるというものではありませんでした。新教科書では,モールを使ったかざり作りに変更されています。
 そこで,「水よう液を冷やすと,その温度ではとけることができない分が,つぶとなって現れる。」その点に絞って,再現性が高く,しかも感動的な美しさを楽しめるようにアレンジした実験を紹介します。使用する薬品は塩化アンモニウムで,結晶の形が星や雪のように美しいものとして知られています。

2.実験の進め方とコツ

 A,学校で実験する場合
  

  (1)

 水110mlに塩化アンモニウム50gを入れ,約50℃まで加熱して(アルコールランプなどで)完全に溶かす。

  (2)

 試験管5本に取り分け,フタとして水玉風船をかぶせる。

  (3)

 試験管立てで静置する。バックに黒っぽい紙を立てて見やすくする。

  (4)

 水溶液が冷めてくると,小さな結晶が晶出(再結晶)し始める。

  (5)

 ☆のような結晶が,徐々に大きくなりながらドンドンふり積もっていく。

  (6)

 ☆が下から上へとわき上がるように動く様子も観察できる。これは,結晶になる時に出る凝固熱のため,下から上へと対流が起こるからである。

  (7)

 水面直下では,下向きに結晶が成長していく。振動を与えると落ちるので要注意。


  (8)

 水玉風船の上からペンライトで照らせば,ゴム膜の色が透過して,試験管内がピンクや緑色の世界に早変わり。部屋を暗くすれば,さらにメルヘンチックに楽しめる。
 (ゴム膜の薄い水玉風船で可能)


  (9)

 ☆がふり積もり終わっても,温め直せば,何度でも繰り返して実験できる。

 B,家庭で再実験する場合

  
  ・加熱器具の使用で事故が心配されるので,500mlPETボトル(ペプシなどの円筒形タイプ)を使用する。

  ・

適量の水(底から1〜5cm)を入れておく。ポットの熱湯を足して,熱めの湯(60〜70℃)を肩口まで入れる。
最初に水を入れないと,熱湯でPETボトルが変形してしまう。

  ・

晶出し終わったゴム風船付き試験管を,PETボトルの湯に入れる。

  ・

2〜3分で,底から1cmほど残して結晶が溶ける。

  ・

試験管を取り出し,風船でフタをして親指で押さえながら撹拌し,完全に溶かしきる。

  ・

湯を捨て,代わりに「人肌」のぬるま湯を入れる。
温度が高いと晶出し始めない。低いときれいな結晶にならない。

  ・

水玉風船付き試験管を入れると,再度,☆が生まれ,ふり積もっていく。

3.アレンジポイント

  ☆水玉風船
温め直した時,ゴム栓だと外れてしまうが,水玉風船だとふくらんで外れない。
撹拌する時,親指で押さえれば,風船内に液が入らない。
ライトによるゴム膜の透過光で,カラフルにライトアップできる。

  ☆

ぬるま湯水冷式
徐々に水温が下がるため,結晶が大きく成長する。(空冷式△)

  ☆

試験管
容積が小さくガラス製なので,温め直す時,比較的早く溶ける。

  ☆

PETボトル
レンズのような効果で,小さな結晶を拡大して見ることができる。
キャップをつければ,保存や持ち運びに便利。

4.おわりに

 小さな子どもには,「星の赤ちゃんが生まれてくるからよ〜く見ておいてね。」と言って集中してもらいます。また,水面直下に成長する結晶が,ちょうど逆さ向きの針葉樹のように見えるので,それを「ふるさとの森」と名づけ,「お星様がふるさとの森に帰っていって,元気をもらってまた落ちてくるんだよ。」などと言いながら,私自身もメルヘンを楽しんでいます。
 女の子にはもちろん,男の子にも大歓迎される実験なので,ぜひトライしてみてください。塩化アンモニウムは,毒・劇物指定もなく,理科教材屋で簡単に手に入ります。
(500g1500円ぐらい)

☆子どもの感想から(美しさと結晶が上下することにびっくりした子が多かった)

  ・試験管の中に雪がふった!雪がチラチラ舞ってるみたいで,とっても美しかった。

  ・

温めると溶けて,冷やすとまたきれいな結晶が出てきた。何度でもできるんだ。

  ・

とってもカワイイ結晶。

  ・

ペンライトでチョーキレイ。

  ・

食塩やミョウバンよりきれい。

  ・

手裏剣みたいな形だ。

  ・

水面の結晶はモミの木みたい。

  ・

最後の実験にふさわしい。

  ・

結晶が回転していた。

  ・

大きい結晶も浮いた。

  ・

ドンドン結晶が増えて,大きくなっていった。



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