1.はじめに
昆虫は,種類も多く生活も様々です。ですから,それを教材にするのは難しいものです。小学校3年生を担任している先生方,悩んでいませんか。教科書ではモンシロチョウが教材となっていますが,その他にもよい教材を見つけましたので紹介します。
「プールに棲息する生物を調査している学校がある」という話を聞いたことがあります。そこで,わたしも実際に,勤務する学校のプールを調査してみました。その結果,簡単にいろいろな昆虫が採集できることがわかったので,これを教材にすることにしました。今回は,双眼実体顕微鏡の使い方を目的に5年生で実践しましたが,ここで紹介する内容は,3年生の理科や2年生の生活科でも活用できると思いますので参考にしてください。
2.内容
(1) | プールで昆虫を採集する
● | 水をすくう網が必要です。今回は釣り具の「たも網」を使いました。 |
● | 虫をとる時期はいくつか考えられます。(もちろん水泳指導の時期はできません) |
● | 虫捕りはいろいろな学年で,学習活動として取り入れることができます。 |
5・6年生
今回の実践です。顕微鏡を使う場合,自分で採集したものを見るときは,子どもたちも意欲的です。また,この時期に学習する「水の中の小さな生き物」と関連づけることができます。昆虫たちがプールに飛来するのは,そこを生活の場として選んだのです。それに気づき,子どもたちは,解決すべき問題に出会うかもしれません。 |
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4年生
生き物の様子を1年間通して調べることができます。定期的に調べてまとめることができれば,子どもたちはよい報告をしてくれることでしょう。 |
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3年生
プールには成虫だけでなく幼虫もいます。子どもたちはヤゴに興味をもち,トンボになるまで飼育しました。トンボは,蛹にならないというところがモンシロチョウとは違いますが,朝登校してみると,羽化したばかりのトンボがとまっているというのは感動的です。 |
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1・2年生
生活科で虫捕りをする場合,クラスや学年で活動することが多いと思います。しかし,野原に大勢で行くと,虫が逃げてしまってあまり捕れません。その点,プールは閉鎖的な場所ですので,虫がいなくなるということもありません。また,寒い時期になっても活動が可能です。 |
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(2) | 昆虫を観察する
● | 採集した昆虫をシャーレに入れて,双眼実体顕微鏡や
解剖顕微鏡で観察しました。また,標本にして,詳しく昆虫の体を見ました。 |
● | 飼育しながら,昆虫の動きを観察することもできました。 (水の中層に漂うコマツモムシ)→ |
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(3) | 昆虫の種類
● | 2000年6月6日の採集ではアメンボ,ヒメアメンボ,ヒメイトアメンボ,コマツモムシ,アサヒナコミズムシを捕まえることができました。また,種類はわかりませんが,たくさんのヤゴを捕まえました。 |
● | 採集した昆虫のいくつかは,標本にしましたので紹介します。 |
アメンボ | ヒメアメンボ |
アメンボのなかまは,プールの水面にいる昆虫です。写真にしていませんが,ヒメイトアメンボも水面にいる昆虫です。
コマツモムシ | アサヒナコミズムシ |
コマツモムシはプールの中層に漂っている昆虫です。コミズムシのなかまは,プールの底にいる昆虫です。
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(4) | 子どもたちに気づかせたいこと(例)
● | プールという狭い範囲の中でも,水面や中層,底というように,昆虫たちは棲む場所が違うのです。そこに気づけば,その昆虫について調べたいという意欲が湧くかもしれません。 |
● | 昆虫の動き方も種類によって違います。子どもたちは,コマツモシが漂う姿を不思議そうに見ていました。見慣れた光景ではありますが,アメンボの動き方も楽しいものです。 |
● | アメンボのあしは,どれがいちばん長くてどれがいちばん短いのでしょう。意外と子どもたちは気づいていないものです。 |
このように,子どもにとって新しい発見があれば,そこから,自分で調べようというテーマに出会うかもしれません。「総合的な学習の時間」でも十分にテーマになるでしょう。
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(5) | 昆虫の羽化
● | トンボの幼虫(ヤゴ)をたくさん捕まえたので,トンボに詳しい方にお聞きしたところ,飼育すすれば羽化させることができると教えてくださいました。実際に飼育したところ何匹か羽化させることができました。子どもたちも大喜びでした。飼育の方法は,容器は何でもかまわないので,羽化する場所をつくってやることです。今回は容器の中に割り箸を立てておきました。えさは釣具屋さんで売っているアカムシを与えました。 |
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3.おわりに
昆虫は季節や地域によって,違ったものが得られると思います。活用の方法もいろいろと考えられます。今回の報告を参考にしていただけたら幸いです。
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